工場は、製品や商品の製造をしている場所なので、製造業の企業にとっては、いわば「利益の源」とも言える施設です。
企業にとって利益の源である工場の省エネ化は、利益の最大化、地球環境保全という意味で非常に大きな意味を持ち、近年、ますます省エネの重要性が強く叫ばれています。

しかしながら、「何から手を付ければよいかわからない」「省エネに取り組むための資金がない」などの声が聞かれることも事実です。
この記事では、工場の省エネ化を実現させる一つの手段として、コスト削減効果のあるサービスについて紹介いたします。

工場での電力と燃料の省エネ

”工場”と一口に言っても生産品目や稼働状況、工場の規模などによりエネルギーの使い方や使用量はそれぞれ異なりますが、以下に一例をご紹介します。

エネルギーの内訳(電力と燃料)

エネルギーにかかる費用は工場の規模の大小問わず、企業にとって大きな割合を占めていることが推測されます。

電力については、言うまでもなく工場で使用する照明、空調設備、産業機械の動力などがこれにあたります。照明器具や機械を最新のものに交換することや適切なメンテナンスを行うことよって、余分な電気の使用を抑えて効率よく電気を使用することがオーソドックスな省エネ方法です。

さらに、使用しないときにはこまめにスイッチを消す、エアコンの温度設定を適切に保つなども従来から行われている省エネ方法です。これらを実施するためには、設備投資によるコストの投入や、適切な温度設定やスイッチのON/OFF切り替えの場面のルール作りと従業員への周知徹底が必要とされます。

燃料(ガス)における省エネとしては、エネルギー効率の良い資源の導入や省エネ性の高い産業機械の投入、新エネルギーの利用などがこれにあたります。

省エネ性の高い機器や資源がある場合、燃料を変更するだけで高い省エネ効果が得られることがあるので、従業員に負担を強いることなく自動的に省エネが実現できる可能性があります。
しかしその一方で、資源が高価であったり、そのための設備投資に費用が掛かったりすることがある、というデメリットがあります。

工場での省エネの取り組み方

長期的にみれば、コスト削減効果が見込まれる場合でも、初期投資が高額になってしまったり、工場の作業効率に影響が生じたりする場合には、省エネへの取り組みは困難になります。費用対効果や製品の品質への影響、従業員への負担、満足度などを総合的に判断して、導入を検討する必要があります。

逆に言えば、導入コストが少なく、工場での作業方法に影響が生じない省エネ方法は、デメリットがほとんどないため、多くの工場において優先的に導入していきたい省エネ方法と言えるのではないでしょうか。

工場での水の省エネとは

続いて、工場において不可欠な水の省エネについてご紹介いたします。

工場における水資源について

日本国内では、水資源が豊富であることや水を多く使用する石油化学、鉄鋼、紙パルプなどの工場は十分な取水権を取得していることから、量の確保という点では特に困っている状況はありません。
しかしながら、環境負荷の低減・コストダウンという観点から、現在多くの企業が水資源の再利用や最新の水処理設備・排水設備への投資に取り組んでいます。

言うまでもないことですが、工場では多くの水資源を使用します。
食品や薬品、工業用品を製造する際に使用する原料としての水はもちろんですが、産業機械の冷却水や洗浄水、工場内の散水、従業員の飲料水などもこれにあたります。

工場では、一日に何トンもの膨大な量の水を使用することが多いので、上水道でこれらの必要な水をすべて賄う場合には、多大なコストがかかりますし、また冷却水や散水などはそのまま排水されることになるため無駄も多く生じます。

水を確保する

工場で使用する水の省エネと水道料金のコストダウンを叶える方法の一つに、地下水や余剰工業用水を上水道の代替として工場で使用する方法があります。

地下水や余剰工水を上水道の代わりとして使用するための設備導入には、一般的には多大な初期投資が必要ですが、オンサイト方式と言って、初期投資不要・導入リスク0・コスト削減保証で設備を導入することができる仕組みもあります。

オンサイト方式とは

井戸の掘削やプラント費用・基礎工事や配管工事・電気工事など、導入にかかる全ての初期費用を、納入業者で負担する方式のことです。設備は業者の所有になり、お客様は供給される水の使用量に応じた料金を、従量料金としてお支払いいただく仕組みです。
また、契約期間中に発生する毎月のメンテナンス費用・薬品費・ろ過装置のろ過材などの消耗品費、ポンプなどの故障時の修理費に至るランニングコストも全て月々の使用水量1㎥あたりの従量料金に含まれています。

また、こうして抽出された水は、飲料水としてはもちろん、利用用途に応じた水質にて供給が可能なので、製造用水としてもご使用いただけます。

工場での水の省エネ対策事例

工場での水に関する省エネ対策事例を紹介します。

【大阪府】自動車部品工場様 製造用水向け 新規井戸設備

新規井戸を掘削し、工場で使用されるコージェネ冷却水やボイラー用水として井戸水を活用しています。
井戸水の特徴でもありますが、井戸水は年間水温が一定しているため、井戸水を冷却水として使用することで夏期の冷却効率が上がり、使用水量3,000㎥/月で年間約250万円のコストダウンに成功しています。

引用:導入実績|ミズカラ株式会社 https://www.atss.co.jp/cases/006/

省エネ対策、水道代のコストダウン以外のメリットとしては、上水道以外の水源を確保することで、非常時(上水道断水時)に第二水源として使用することができます。
ちなみにこちらの工場は、非常時には近隣の被災者へ生活用水として水の提供を行う施設として、「災害時協力井戸」として大阪府に登録されております。地域貢献にもなっているということですね。

参考:大阪府/災害時協力井戸について

工場の屋根散水に雨水を利用

夏場に、屋根に散水して冷やすことで暑くなった工場室内の気温を下げることができます。散水用の水に雨水を利用することで水道代だけでなく、クーラーにかかる電気代のコストの削減が期待できます。

また、降った雨水をタンク内に貯めておき、雨水がカラになってしまった時には自動的に水が補給されるなどのシステムを導入されるケースもあります。

その他にも、排水リサイクルや地下水の熱エネルギーの利用(冷却や保温)なども省エネの方法の1つです。
工場の規模にもよりますが、省エネを推進することで、水光熱費の削減につながることも期待できます。
コストダウンにつながる様々な工場の省エネ方法をご紹介しましたが、取り入れてみたい方法は見つかりましたか?

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