”地下水”や”井戸水”と言えば、まだ上水道が普及する以前によく使用されていた話だとイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は現在でも、コストダウンや防災対策の1つの手段として、注目されています。

皆さんも記憶に新しいと思いますが、2018年には水道法改正が可決されました。そのため、今後、水道事業の民間委託が進むことが予想されています。法人企業が負担する水道料金が大幅に高騰することも懸念される今、水道料金削減方法の1つとして、上水道の代わりに地下水を利用することも、検討する価値があるでしょう。

この記事では、地下水を利用することのメリットと注意点について、ご紹介したいと思います。

1.地下水を利用することで得られる5つのメリット

地下水を利用することで得られる大きなメリットの1つとして、水道料金の削減が挙げられますが、実はコスト面以外でも様々なメリットが期待できます。
ここでは、地下水利用で得られる5つのメリットについて順に触れていきます。

1-1. 水道料金を大幅に削減できる

地下水を利用することで得られる最大のメリットは、水道料金の大幅な削減です。
地下水自体は、実は無料で利用することができます。そのため、特に大型工場や入院施設のある総合病院、スパが併設されているようなスポーツクラブなど、
大量に水を使用するような施設では、水道料金の大幅な削減が期待できるでしょう。

また、上水道料金が高い地域で水を使用している施設でも、同じようにコストメリットが出やすいでしょう。

1-2. 無味無臭である

水道水の場合、水源である河川水の消毒のために、カルキ(塩素)が投与されます。
その投与されたカルキ(塩素)の臭いが、地域によっては強く出ていることもあり、「水道水はカルキ臭い」と水道水を飲むことに抵抗がある人も多いのでは?
一方で、質の良い地下水であれば塩素による過度な処理が必要ないため、臭いに悩まされることは少ないでしょう。

日本の地下水は良質な水が流れていることが多いので、飲料水以外にも製造用水や生活用水などとしても活用できます。

1-3. 水温が年間を通してほぼ一定である

地下水は、地表の温度に左右されることなく、年中一定の水温(17℃前後)を保っています。
つまり「夏は冷たく冬は暖かい」水が得られるのです。
季節による気温の変動に影響を受けることが少ないため、冬場の凍結防止や夏場の冷却に対するエネルギーコストの削減が期待できます。

1-4. 渇水時でも水を利用できる

水道が滞りなく利用できるかどうかは、ダムの貯水量に大きく影響されることもあります。
特に雨不足によりダムの貯水量が枯渇した場合、給水制限が設けられることもあります。
生産を止めることが難しい工場の場合、給水制限中は十分な稼働ができなくなり、生産量が減ってしまうことも予想できるでしょう。

地下水を利用していれば、渇水時でも制限を受けることなく水を使用することができますので、給水制限の影響は最小限で済みます。

1-5. 災害時の貴重な水資源

地下水を利用するためには、井戸を掘削しますが、井戸は地震などの災害に強いという特長があります。

自然災害時には、水道管の破損などが原因で断水してしまうことがありますが、井戸は地震に強く東日本大震災でも深度30m~300mの井戸は、95%使用できたとのデータもあります(社団法人 全国さく井協会より)。

上水道と地下水を併用していれば、水道が使えなくなった場合でも地下水を利用できるので、
飲料水の他、生活用水、製造用水の確保ができます。

2.地下水を利用する際に発生する4つの注意点

多くのメリットがある地下水ですが、導入するにあたりいくつか注意点もあります。
地下水利用で発生する4つの注意点と、その対処法について触れていきます。

2-1. イニシャルコスト、ランニングコストが高額

地下水を利用するためには、井戸の掘削工事が必要です。さらに掘削後は、地下水をくみ上げるためのポンプや、水質や利用用途によっては複数の水処理装置が必要になります。
また、地下水を利用するシステム(当社では自家水道システムと呼んでいます)の導入後は、水質分析費やポンプを駆動させるための電気代、設備のメンテナンス費用や修繕費、次亜塩素などの薬品費といったランニングコストが発生します。

その費用を負担する場合、非常に高額(数千万円)になることが予想されます。

そこで当社では、オンサイト方式による販売方式を採用しております。

オンサイト方式とは

井戸の掘削やプラント費用・基礎工事や配管工事・電気工事など、導入にかかる全ての初期費用を当社で負担する方式のことです。
設備は当社所有になり、お客様は供給される水の使用量に応じた料金を、従量料金としてお支払いいただく仕組みです。
また、契約期間中に発生する毎月のメンテナンス費用・薬品費・ろ過装置のろ過材などの消耗品費、ポンプなどの故障時の修理費に至るランニングコストも全て月々の使用水量1㎥あたりの従量料金に含まれています。

地下水の利用を検討する際には、オンサイト方式での導入にも注目してみてくださいね。

2-2. 水量が安定していない

実は、井戸を掘削すればどこでも地下水が出るとは限りません。

掘削した結果、どの程度の水量が確保できるのか、また地下水の水質などを事前に確かめることは、難しいのが現実です。

そこで当社は10,000件以上に及ぶ地下水・井戸のデータを持つ井戸会社様と提携し、掘削前に井戸調査を行っております。

調査の際必要なのは、導入をご検討されている施設の住所のみ。住所を元に水源があるのかないのか、希望する水量が確保できるのか、水質はどうなのか、また井戸に関する規制の有無といったことまで事前調査が可能です。

調査は無料ですので、事前調査が必要な場合はお気軽にお問い合わせください。

なお、オンサイト方式でのご契約の場合、仮に掘削後に水が出なかった場合は、掘削料金は発生いたしません
当社の負担で原状復帰までいたしますので、ご安心ください。

お客様のリスクを徹底的に抑え、水のトータルソリューションを実現します。

2-3. 停電時にポンプが使えない

水道の場合は、水道局の給水設備が停電していなければ、蛇口をひねることで水道水の利用が可能です。
しかし地下水の場合には、水の汲み上げやろ過を電気に頼っている場合がほとんどです。
そのため、停電時には地下水を利用することが難しくなります。

しかしこの注意点も、自家発電機を設置することで、解決することができます。

実際に、当社が自家水道システムを導入させていただいているお客様でも、
防災対策として自家発電機も同時に設置して、稼働させている施設もございます。

2-4. 水質に注意が必要

地下水は井戸を掘削する場所によって、水質が異なります。
飲用水としての利用が難しいだけでなく、用水としての水質基準も満たしていないものや、着色がある場合もあります。
井戸を掘削し汲み上げた水をそのまま問題なく使用できるかというと、なかなかそうないかないでしょう。

また、浅い地層の地下水(浅井戸)は水質が常に変化しています。環境汚染物質などの影響を受けやすいため、井戸から近い距離に農薬を使用する畑や環境汚染物質を排出する施設がある場合、土壌汚染に伴い地下水の水質が悪化してしまうこともあります。

その対策として、深井戸(30m以深)に切り替え深層地下水を利用することで、土壌汚染の影響を受けにくい水を汲み上げることが可能になります。
また、深井戸の掘削が難しい場合でも、高機能な水処理装置を用い、利用用途を用水に限定するなど、運用方法を工夫することで、これらの注意点を回避することができるでしょう。

3.地下水の利用を検討しているならば

今後、地下水の利用を検討する場合に大切なことは、いかに信頼できる業者を選択するか、ということです。
以下のような点に関しては、確認しておいた方が良いでしょう。

3-1. 井戸掘削後に水があまり出ない場合の対応

地下水の利用を考えるときに、一番念頭に置かなければならないことは、掘削する場所によって、利用状況が大きく変わることです。
場所によって水質や水量の差があることはもちろん、掘削した結果、取水できない可能性も十分あり得ます。
掘削後、水が出なかった場合の掘削業者に対する費用はどうなるのか、また掘削した土地の原状復帰はどうなるのかといった点を、事前に確認する必要があります。

3-2. アフタサービスに対応しているか

地下水利用においては、井戸を掘削し、水処理設備を設置して完了、というわけではありません。
定期的な設備のメンテナンスや水質検査、修繕、機器の更新、万が一の故障時の対応など、サービス内容や費用を確認する必要があります。
さらに保健所や水道局等の役所への申請業務、その後の立ち入り検査の同席など、トータルで任せられる業者選びが大切です。

3-3. トータルでのコスト面で相談できるか

井戸の掘削に始まって取水、水質調査、設備のメンテナンス、アフターサービスなど全て踏まえた上で、トータルでコストダウンに向けて相談できる業者であることが望ましいです。
例えば、地下水利用における注意点をどの程度まで回避できるのか、どのような工夫をすればランニングコストをもっと下げられるのか、などの相談に乗ってくれる企業が理想的ですね。

ミズカラ株式会社は、上記のような注意点は全てカバーできますので、お気軽にご相談ください。
ご相談、お見積りは、随時受け付けております。


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