今回は、主に食品工場(生産工場・加工工場など)で実践できる経費削減のアイデアをご紹介します。
食品工場では、食の安全を徹底することが最優先ですが、原材料や輸送費の価格高騰などで、できる限りコストを減らしたいと考えていらっしゃる方は多いと思います。
食品工場における経費削減の具体的なアイデアをご紹介いたしますので、ご参考ください。
目次
1.食品庫、業務用冷蔵庫の適温管理
食品工場では、衛生管理を徹底するために、食品庫・冷蔵庫などの温度管理も徹底していることと思います。しかし、過度に温度を下げてしまうと、今度は食品の質に影響を及ぼしてしまうこともあるでしょう。また、「冷やしすぎ」によるエネルギーコストは、無駄な経費が発生しているということなので、見直しを検討する必要があります。
冷蔵庫内の冷やし過ぎを防ぐためには、
- 冷蔵庫内の温度設定を0°C以上にする
- 冷蔵庫の回りが5°C以下の場合には、室温を上げる
- 吹出し口をふさがない
などの対策があります。
2.廃棄量の削減
一般家庭以外から発生したゴミのことを事業ゴミと言います。事業ゴミは、そのゴミを出した事業者がゴミ処理の責任を負うものと法律で定められているため、処理費用がかかります。
気になるその処理費用ですが、
産業廃棄物は約3000~10000円/100kg
事業系一般廃棄物は約2000~4000円/100kg
とされています。処理費用の他に、運搬費などが上乗せされる場合もあります。
この処理費は立派な「経費」なので、可能な限り削減しましょう。
具体的な削減方法としては、
- ゴミの出ないツールを使用する→紙の資料をデータベース化する。過剰梱包を避けるなど。
- 生産ロスを少なくする→加工方法の見直しなどで捨てる(ロス)部分を少なくする。
- ゴミの嵩を減らす→生ごみ処理機などの活用
などがあります。
3.地下水や余剰工水を利用して水道料金を削減する
使用水量の多い工場では、深層地下水や余剰工業用水を上水道の代替として使用することで、水道料水道料金の大幅なコストダウンが期待できます。特に食品工場では、生産工程やマシンの洗浄などで、大量に水を使用していることも多いでしょう。
水処理を施して給水するので、飲料水としても製造用水としても使用可能です。
使用水量が多い場合や、水道料金が高騰している自治体に位置している工場では特に、コストダウンのメリットが出やすいと予想されます。
食品工場での事例は、以下をご覧ください。
4.地下水熱の利用による保温・保冷効率のアップ
「水温が年間を通してほぼ一定である」という地下水の特長を活かした技術を活用します。
地下水の水温は、年間を通して1、2℃程度しか変化しません。そのため、「夏は冷たく冬は温かい」水が得られるのです。
地下水熱を有効活用し、保温・保冷の効率を上げることができれば、エネルギーコストの削減につながります。
5.排熱・未利用熱の再利用
食品工場ではいろいろな工程で排熱・未利用熱が産まれています。この排熱・未利用熱を熱交換器により再利用することができれば、エネルギーコストを抑えることが可能です。
処理水の未利用熱を回収することで、ボイラから供 給される蒸気を削減すると同時に、蒸気配管の放熱等も削減することができます。さ らに、河川に放流する処理水の温度が下がることで、自然環境への負荷低減にもつながるでしょう。
なお、熱交換器については前回の記事で、詳しく解説しているので、ご覧ください。
「食の安全」が第一
今回は食品工場における経費削減のアイデアをご紹介しましたが、食品工場で最優先に取り組まなくてはならないのは、やはり「食の安全」です。経費削減に走るばかりに、衛生面を疎かにしてしまうことは許されません。
「食の安全」と「経費削減(コストダウン)」の両立を目指しましょう。