病院の水道料金は、24時間365日の稼働、大量の洗浄水、空調冷却、給食、入浴——あらゆる場面で水を使い続けるからこそ、簡単には下がりません。

福島県の大規模総合病院では、水道料金の削減とBCP対策の両立を目指し、自家水道システムを導入。地下水をUF膜(限外ろ過膜)で高度処理することで、飲料水として院内全体に供給しながら、水道料金を約50%削減することに成功しました。

本記事では、「病院で井戸水を飲料水に使えるのか」という多くの医療機関が抱える疑問に、この事例の実績をもとにお答えします。


事例の概要

項目内容
施設規模800床を超える病院
所在地福島県
施設種別総合病院
導入技術UF膜(限外ろ過膜)による高度浄水処理
用途院内の飲料水として活用
削減効果水道料金 約50%削減

病院が自家水道を検討した2つの理由

理由1: 水道料金が経営を圧迫していた

総合病院は水の消費量が極めて多い施設です。外来・入院患者への給水、手術室・処置室の洗浄水、給食調理、空調設備の冷却水、リネン洗濯——24時間稼働する施設の水道料金は、年間で数千万円に達することがあります。

診療報酬が限られる中で、固定費としての水道料金を削減できれば、医療の質を落とさずに経営基盤を強化できます。

理由2: 災害時の水源確保が必要だった

東日本大震災以降、医療機関のBCP(事業継続計画)における水の確保は重要な課題となっています。上水道が断水した場合、受水槽の備蓄だけでは数日しか持ちません。独立した水源を持つことは、患者の生命を守るために不可欠な備えです。


「病院で井戸水を飲料水にできるのか」…技術的な解決策

多くの病院が抱える懸念

「地下水を病院で使う」と聞くと、多くの方が水質への不安を感じます。特に、患者への直接的な影響がある飲料水としての使用については、慎重な検討が必要です。

総合病院の解決策: UF膜による高度ろ過

処理段階技術目的
一次処理砂ろ過濁度の除去
高度処理UF膜(限外ろ過膜)細菌・ウイルスの完全除去
消毒塩素注入残留塩素の確保
監視水質計器による常時モニタリング基準値からの逸脱を即時検知

UF膜は、0.01〜0.1μmの微細な孔で水をろ過する技術です。細菌やウイルスをほぼ完全に除去でき、上水道と同等以上の水質を実現します。

📌 重要: 自家水道で飲料水を供給する場合、水道法に基づく「専用水道」としての届出が必要です。保健所への申請手続きと、毎月の水質検査が義務付けられます。これらの手続きは当社が代行します。


50%削減を実現した構造

なぜ病院で50%もの削減が可能だったのか

要因内容
使用水量が多い24時間稼働の総合病院は月間使用水量が大きく、上水道の逓増制(使うほど単価が上がる)との差額が大きい
深井戸の水質が良好当該地域の地下水は処理コストが低く抑えられた
UF膜の効率性飲料水化に必要な処理を1段階で実現し、運用コストを最小化

⚠️ 注意: 50%という削減率は、総合病院の固有条件(地下水の水質、使用水量の規模、地域の上水道単価)によるものです。一般的な医療機関での削減率は10〜30%を目安としてください。


病院特有の導入検討ポイント

1. 患者への影響

水源の切替は段階的に行い、切替期間中も上水道をバックアップとして維持します。患者が水質の変化を感じることは通常ありません。

2. 保健所との関係

専用水道の届出にあたり、保健所の監督下で水質管理を行います。書類作成・折衝は当社が代行し、病院側の事務負担を最小限にします。

3. 停電時の対応

自家水道は電動ポンプで揚水するため、停電時の備えが不可欠です。非常用発電機との併設、または受水槽による一時貯水で対応します。こちらでは非常用発電とも繋ぎ、停電時もポンプを稼働可能にしています。

4. 既存設備との整合

病院には既に受水槽、ポンプ室、浄水設備がある場合がほとんどです。自家水道の導入設計は、既存設備を最大限活用する形で行います。


自院で検討を始めるために

確認する情報確認先なぜ必要か
月間水道使用量と料金事務部門・検針票削減額のシミュレーション
病院の所在地地下水条件・掘削規制の確認
BCP計画の現状総務・防災担当水源確保の要件確認
現在の受水槽・浄水設備の状況施設管理部門既存設備との整合設計
HACCP・食品衛生法の適用有無給食部門給食調理用水としての使用設計

よくある質問

Q. 導入後、水質に問題が出た場合はどうなりますか?

24時間の遠隔監視システムで水質を常時モニタリングしています。基準値からの逸脱を検知した場合、自動で上水道に切り替わるため、病院の給水が止まることはありません。

Q. 院内感染対策に影響はありませんか?

UF膜は細菌・ウイルスを物理的に除去する技術であり、上水道と同等以上の衛生性を確保できます。残留塩素の管理も継続的に行うため、院内感染リスクへの影響はありません。ただし、導入にあたっては院内の感染対策委員会との事前協議を推奨します。

Q. 導入工事中、入院患者への影響はありますか?

既存の上水道を維持したまま、並行して自家水道の設備を構築します。切替時も段階的に行うため、断水は発生しません。


次のステップ

病院の水道料金削減とBCP対策を同時に検討されている方は、まず月間水道データをご準備の上、無料の導入可否診断をご利用ください。

関連記事:

Pocket