「自家水道で本当にコスト削減できるのか」——この疑問に対する最も説得力のある回答は、実際に導入した施設の声です。

ミズカラでは、工場・病院・商業施設を中心に、全国で自家水道システムの導入を支援してきました。本記事では、公開可能な導入事例の中から、業種・目的の異なるケースを取り上げ、導入を決めた背景、実際の効果、導入時に検討したポイントを整理します。

「うちの施設でも効果があるのか」を判断する参考として、ご活用ください。


この記事で確認できること

  • 業種別(工場・病院・商業施設)の導入事例と具体的な効果
  • 各施設が「導入を決めた理由」と「事前に検討したポイント」
  • コスト削減目的とBCP目的、それぞれの導入パターン
  • 自社の状況と比較するための判断材料

事例1: 大手食品工場(千葉県)——年間8,000万円以上の削減を実現

導入の背景

新工場の建設にあたり、稼働後の水道料金が経営に大きな負担になることが見込まれていました。大量の水を使用する食品製造において、上水道のコストは固定的で削減が難しいと考えられていましたが、新工場建設と同時に自家水道を導入する計画が検討されました。

導入内容と効果

項目内容
方式オンサイト方式(初期費用不要、従量料金制)
効果年間8,000万円以上の水道料金削減(削減率約70%)
特徴新工場建設と同時に井戸掘削・プラント設置を実施

この事例から学べること

  • 新築・増設のタイミングが最大のチャンス: 既存施設への後付けも可能ですが、建設と同時に導入することで配管設計を最適化でき、削減率が高くなる傾向があります
  • オンサイト方式なら初期投資ゼロ: プラントの設置費用を当社が負担し、水道料金の削減分から使用料を支払う仕組みのため、工場側のキャッシュアウトが発生しません
  • 食品工場でも飲料水質の確保が可能: 食品製造用水の基準を満たす浄水処理を組み込んだ設計

📌 注意: 削減率70%は本事例固有の条件(新工場での最適設計、大規模な使用水量)によるものです。一般的な削減率は10〜30%が目安です。


事例2: 竹田綜合病院様(福島県):水道料金50%削減とBCO対策を両立

導入の背景

総合病院として大量の水を日常的に使用する中で、水道料金の削減が経営課題として浮上。同時に、病院としてのBCP対策(事業継続計画)の観点から、上水道以外の水源確保も検討されていました。

導入内容と効果

項目内容
方式地下水をUF膜で高度ろ過する自家水道システム
効果水道料金を約50%削減
用途院内の飲料水として活用
技術UF膜(限外ろ過膜)による高度浄水処理

この事例から学べること

  • 病院でも飲料水として使用可能: UF膜による高度ろ過により、水道法の水質基準をクリア。院内の飲料水として安全に使用
  • コスト削減とBCPの両方を達成: 上水道の代替水源を持つことで、災害時の断水リスクにも対応
  • 50%水道料金削減は医療機関としては高い水準: 病院は24時間稼働で水使用量が多いため、削減のインパクトが大きい

事例3: 丸山荘病院様(茨城県):東日本大震災の経験から導入を決断

導入の背景

2011年の東日本大震災を経験し、上水道の断水が病院運営に与える影響の深刻さを実感。「次の災害に備えて、独立した水源を確保しなければならない」という判断から、自家水道の導入を決定しました。

導入内容と効果

項目内容
方式井戸掘削 + LPガス非常用発電機
効果防災対策の強化 + 水道料金のコストダウン
特徴停電時でもLPガス発電で井戸ポンプを稼働可能

この事例から学べること

  • BCP目的での導入は「コスト」だけでは測れない: 水道料金の削減は副次的な効果。主目的は「災害時にも水が止まらない体制の構築」
  • 非常用発電機との組み合わせが重要: 自家水道は電動ポンプで揚水するため、停電時の電源確保が不可欠。LPガス発電機を併設することで、停電+断水の同時発生にも対応
  • 震災経験が意思決定の転機に: 「リスクを知っているからこそ投資できる」という、実体験に基づく判断

事例4: 商業施設(大阪府・和歌山県):指定緊急避難場所と水道料金削減を両立

導入の背景

大型商業施設は、地域の指定避難場所として防災機能が求められるケースがあります。上水道だけでは災害時の水供給に不安があるため、独立した水源として自家水道を導入。

導入内容と効果

項目内容
方式新規井戸掘削 + 専用水道設備
効果災害時の水源確保 + 平時のコスト削減
特徴自治体から指定緊急避難場所・指定臨時避難場所に認定

この事例から学べること

  • 「地域貢献」が経営価値になる: 避難場所としての水供給機能は、自治体との関係強化やCSR活動としても評価される
  • 平時はコスト削減、非常時は防災インフラ: 自家水道は「使わない設備」ではなく、毎日稼働しながら非常時にも機能する二重の価値を持つ
  • 2007年から継続運用している施設も: 長期運用の実績があり、設備の耐久性・メンテナンス体制が確立されている

業種別の導入パターンまとめ

業種主な導入目的典型的な削減効果BCP価値
食品工場コスト削減(大量の水使用)年間数千万円規模生産ライン停止防止
病院BCP + コスト削減30〜50%削減患者の生命に直結
商業施設地域防災 + コスト削減施設規模による避難場所としての機能
製造業全般コスト削減 + 水質改善10〜30%削減事業継続計画

自社に近い事例はどれか:判断のポイント

コスト削減が主目的の場合

月間水道料金が100万円を超えている施設では、自家水道によるコスト削減の余地があります。特に、新工場の建設や大規模なリニューアルを予定している場合は、同時導入により最大の効果が見込めます。

BCP対策が主目的の場合

水が止まることで事業継続に深刻な影響が出る施設(病院、食品工場、介護施設等)では、コスト削減効果に関わらず、独立水源としての価値を検討すべきです。非常用発電機との組み合わせも含めた設計が推奨されます。

地域貢献・CSRが目的に含まれる場合

自治体の避難場所指定を受けている、または受ける予定の施設では、自家水道が防災機能の一部として評価されます。


よくある質問

Q. 事例で紹介された削減率は、うちの施設でも同じように出ますか?

削減率は施設の使用水量、地域の上水道単価、地下水の条件により異なります。上記の事例はそれぞれの固有条件での結果であり、同じ数値が保証されるものではありません。自社の条件での概算は、無料の事前診断で確認できます。

Q. 病院での導入事例がありますが、患者への影響はありませんか?

水道法に基づく専用水道として運用し、毎月の水質検査を実施しています。竹田綜合病院の事例では、UF膜による高度ろ過で飲料水基準をクリアし、院内の飲料水として使用されています。ただし、導入にあたっては保健所への申請と定期的な水質管理が必要です。

Q. 導入事例の施設を見学できますか?

個別にご相談ください。施設側の了承が得られる場合、見学のアレンジが可能なケースがあります。


次のステップ

「自社の条件で、どの程度の効果が見込めるか」を確認するには、現状の水道使用データをもとにしたシミュレーションが最も確実です。

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