この記事でわかること

  • 2025 年 6 月 30 日改正・2026 年 4 月 1 日施行の PFOS・PFOA 水道水基準の要点
  • 公共用水域・地下水の指針値強化(50 ng/L)
  • 工場排水・廃棄物・使用済活性炭まで広がる企業の管理範囲
  • PFAS 対応をまだ始めていない企業が今すぐ着手すべき3ステップ

結論

PFOS・PFOA 規制は「飲料水だけの話」ではなく、工場排水・廃棄物・使用済活性炭にまで管理範囲が広がっています。2025 年 6 月 30 日に水道水基準が合算 50 ng/L で新設され、2026 年 4 月 1 日に施行。同時に公共用水域・地下水の指針値も 50 ng/L に強化されました。全国一律の工場排水基準は 2026 年 4 月時点で未設定ですが、使用済活性炭の保管・処分通知(2025 年 3 月 26 日)、廃棄物処理の技術的留意事項(2022 年 9 月 30 日)など、排出事業者が守るべきルールは既に整いつつあります。PFAS 対応は、原水分析 → 処理方式検討 → 使用済媒体の管理設計の3ステップで着手することが推奨されます。


規制強化の現在地(2026 年 4 月時点)

水道水基準

  • : PFOS 及び PFOA の合算で 0.00005 mg/L(= 50 ng/L)
  • 根拠: 2025 年 6 月 30 日環境省公表「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」
  • 施行: 2026 年 4 月 1 日

公共用水域・地下水

  • 「指針値(暫定)」から「指針値」へ移行
  • : PFOS・PFOA 合計 50 ng/L
  • 根拠: 同 2025 年 6 月 30 日公表

工場排水

  • 2026 年 4 月時点で、全国一律の一般排水基準は未設定
  • ただし、公共用水域の指針値が強化された以上、事業場からの排出が指針値超過に寄与する場合は早期対応が望まれる
  • 自治体によって個別指導・協定で上乗せが入る可能性

使用済活性炭

  • 2025 年 3 月 26 日環境省通知「PFOS 等を含む水の処理に用いた使用済活性炭の適切な保管等について」
  • 屋外野積み禁止レベル、雨水遮断、委託先への含有情報提供、再生・処分の適正化が求められる

廃棄物処理

  • 2022 年 9 月 30 日「PFOS 及び PFOA 含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」
  • 廃棄物処理業者は確実な分解処理が求められる

企業の管理範囲はここまで広がった

領域何を管理するか
工場排水PFAS 検出の有無、濃度、処理方式
処理装置活性炭・樹脂・膜の選定と運用
使用済活性炭屋内保管、雨水遮断、定期点検、含有情報提供
濃縮水(膜処理)処分ルート、委託先の受入条件
廃棄物PFAS 含有情報の委託先共有、分解処理の確認
記録分析記録、保管記録、委託記録
自治体対応立入・指導・協定への対応

「装置を入れれば終わり」ではなく、排出〜処分〜記録の一連のライフサイクル管理が企業に求められます。


後回しにしている企業のリスク

  • 公共用水域の指針値超過に寄与していると判定された場合の自治体対応
  • 使用済活性炭の屋外放置による PFAS 流出事故
  • 廃棄物委託先が PFAS 含有情報を持たずに処理したことによる二次汚染
  • 取引先・金融機関・近隣住民からの信用毀損
  • 規制強化時の急ぎ対応によるコスト急増

今すぐ始める3ステップ

ステップ1:原水分析

  • 排水・冷却水・洗浄水・地下水の採水点を決定
  • PFOS・PFOA(および主要な他の PFAS)の濃度を測定
  • 共存物質(TOC、SS、主要イオン、他の有機物)も併せて分析
  • 季節・工程切替のタイミングで複数回採水

ステップ2:処理方式の検討

  • 活性炭、イオン交換樹脂、RO・NF 膜の比較
  • 原水条件・目標水質・設置スペース・後処理体制を条件化
  • 5 年総コストで比較

ステップ3:使用済媒体の管理設計

  • 屋内保管 or 雨水遮断の保管構造
  • 委託先の受入条件・処理方式を事前確認
  • マニフェスト・点検記録のフォーマット整備

自治体・業界動向を追う視点

  • 自治体ごとの上乗せ指導・協定値の動き
  • 業界団体(半導体、金属表面処理、消火設備、撥水剤ユーザー等)の対応事例
  • 環境省・厚生労働省の通知・通達の更新

これらは定期的にモニタリングし、社内の対応方針に反映する運用が望まれます。


よくある質問

Q1. 水道水基準の 50 ng/L は工場排水にも適用されますか?

A. いいえ。水道水基準は水道水(飲料水)に適用される値で、工場排水の全国一律基準ではありません。ただし、公共用水域の指針値が 50 ng/L に強化されたため、事業場からの排出が指針値超過に寄与する場合は早期対応が望まれます。

Q2. PFAS 分析はどこに依頼すべきですか?

A. PFAS 分析に対応した登録検査機関・専門分析機関に依頼します。採水方法・容器・保管条件にも留意が必要で、採水計画から委託するのが確実です。

Q3. 既存の活性炭設備を PFAS 対応に転用できますか?

A. 活性炭の選定と運用次第です。PFAS 除去を目的に設計されていない既存塔では、交換頻度が想定より早まる可能性があります。原水分析を踏まえた選定が必要です。

Q4. 使用済活性炭を自社敷地で保管し続けても大丈夫ですか?

A. 長期保管は避け、屋内または雨水が当たらない場所で保管し、定期的な処理委託計画を立てることが推奨されます。2025 年 3 月 26 日の環境省通知が最低基準です。

Q5. 規制強化はまだ先と聞きますが、本当に今対応が必要ですか?

A. 水道水基準は既に 2026 年 4 月 1 日施行、公共用水域・地下水の指針値も既に強化されています。工場排水基準の将来設定も視野に入れ、後手対応のコスト・リスクを避ける意味で早期着手が推奨されます。


まとめ:PFAS 対応は「排水処理」だけではなく「ライフサイクル管理」

  • 水道水基準 50 ng/L、公共用水域・地下水の指針値 50 ng/L が既に動いている
  • 工場排水・廃棄物・使用済活性炭まで管理範囲が広がった
  • 原水分析 → 処理方式検討 → 使用済媒体管理の3ステップで着手
  • 後回しは事故・信用毀損・規制強化時のコスト急増を招く

PFAS 対応の初動支援は増澤技研へ

増澤技研では、原水分析、処理方式の比較検討、装置設計・施工、使用済媒体の管理設計までを一貫して支援しています。PFAS 対応をこれから始める事業場のご相談もお受けしています。

参考資料

Pocket