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どこまでグローバル・ゴールに近づいているか
今日、蛇口を捻っても水が出なかったり、水洗トイレが使えなかったりした方はいますか?(被災地などは除きます)
日本では当たり前のサービスと認識されている【安全な水】と【安全なトイレ】ですが、世界では全く違った当たり前があります。
今回の記事では、当社の事業の根幹である「水」について、広い視野で現状の把握をしたいと思います。
国連による発行文書である「Economic and Social Council、E/2020/57、2020年4月28日付」では、下記の報告がされています。
安全に管理された飲料水を使用できているのは、世界人口のうち71%のみ。
安全に管理された衛生サービス(トイレ)に至っては、たったの45%の人しか使えていません。
参照元:Economic_and_SocialCouncil_E_2020_57_E
(PDFファイルが開きます)
グローバル・ゴールでは「2030年までに世界人口の100%が安全に管理された水とトイレを使用できるようにすること」としています。
従って、向こう10年間で、世界のあと29%の人々に衛生的な水と、55%の人々にはトイレサービスを届けなければなりません。
水・衛生の善し悪しが及ぼす影響とは?
“水・衛生の確保には、大きな波及効果があります。誰もが水・衛生を利用できるようになったコミュニティでは、人々が健康に、公平で生産的な暮らしを送ることができます。”
貧困問題への影響
“水・衛生がないことで、長時間の水くみや病気の治療代等の負担が増え、貧困から抜け出すことが困難になります。
2015年にトイレがない等、衛生環境の不備が世界経済に与えた損失は22兆円。うち12兆円は、下痢等によって人々が早期に命を落とす人的損失によるものです。”
飢餓問題への影響
“WHOによると、栄養不良の50%は、慢性的な下痢や腸内寄生虫、その他の感染症など清潔な水と適切なトイレ、衛生習慣がないことが原因です。”
その他にも、健康問題・教育問題・ジェンダー問題・都市計画問題にも波及していると、国際NGO団体のウォーターエイドは述べています。17に分けられたグローバル・ゴールですが、互いが強く影響し合っていることがよくわかりますね。中でも特に、”水”が及ぼす影響は、非常に多岐に渡っていることが明確になっています。
そもそも「安全に管理された飲料水」とは?
多くの問題解決の糸口となる水ですが、「水」と言っても、工業用水・食品用水・散水用水・医療用水など、様々な水(用水)があります。私たちが使用している水のほとんどは、それが雑用水であったとしても、何らかの水処理が施されていますし、水質検査が義務付けられています。
想像に難くないと思いますが、日本においては飲料水はとりわけ厳しく衛生管理が徹底されています。その管理の指標となるのが、水道法ですね。
日本においては、水道法に準拠する水が、すなわち安全に管理された水であり、「飲料水」となります。
水質基準については、以前の記事で解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
”安全に管理された水(飲料水)”を使用できているのは、世界人口のうち71%のみとのことですから、生きるために生水を使わざるを得ない人々が、世界にはまだまだたくさん暮らしているのです。
飲料水の作り方は?
水処理は、先にも述べた通り飲料水を供給する以外にも施されていて、目的別に多くの処理技術が発展しています。
飲料水を供給するためには一般的に、pH調整・凝集・沈殿分離・砂ろ過・塩素殺菌・活性炭吸着・MF/UF膜ろ過・RO膜脱塩・紫外線殺菌・イオン交換・オゾン酸化といった技術が用いられます。
参考書籍:図解入門よくわかる最新水処理技術の基本と仕組み[第2版]
なお、当社が提案しております自家水道システムの一般的な水処理フローは、下記の図のようになっております。
原水の水質や処理水の使用用途によって多少異なる過程もありますが、たくさんの水処理技術が集約されていることが分かります。
これだけの水処理技術を経て、安心・安全な水が供給されているのですね。
日本の「緊急時」と水の環境を整えること
”水”に関しては、日本における「災害時」と、発展途上国を中心とした諸外国における「常時」を同等に考えるべきかもしれません。
つまり、日本国内において、BCP対策の具体的施策として管理された安全な水を作る技術の蓄積は、将来的に水へのアクセスが困難な地域の人々への安定的な水供給に繋がる取り組みだと考えています。
まだまだ規模の小さな当社ではありますが、これからもこの記事をご覧の皆さまとの新たな協業に積極的な姿勢を貫きます。
どうぞお気軽にお声かけいただき、一緒に可能性を探りましょう。
written by Tomochidori