水道水の配水は基本的に地方自治体が行っています。
これは住民の安全と健康を守るために、行政が責任をもって水道水を管理するという意思のもとに築き上げたシステムです。

これに加え、近年は浄水場の建設や管理において、自治体の委託を受けた民間業者の進出が活発になってきています。
また、敷地内の井戸(地下水など)を飲料になるように処理し、自家水道(専用水道)として利用するシステムも普及してきています。

それでは、利用者の安全と健康を守るためには、水道水にはどんな水質基準があって、その水質基準とはどのようなものなのでしょうか?

今回は”分かりやすく”をテーマに水道水の水質基準について解説します。

水道水の水質基準を見てみよう

水道水の水質基準は、水道法で51項目が定められており、その値や項目は厚労省によって適宜見直されています。
どのような成分が規制の対象になっているのか、どのような目的なのか、項目を抜粋してここで分かりやすくまとめてみようと思います。

水道水として使用する際の見た目に関する物質

色度飲料水は無色透明であることが望ましい。
濁度濁った水はどこかに異常がある可能性が高い。
色度の原因になる。
マンガン鉄同様、色度の原因になる。
不味い水は飲料水として不適切。汚水や海水が混じっていないか確認するためでもある。
臭気異臭がする水はどこかに異常がある可能性が高い。
陰イオン界面活性剤泡立つ水は飲みたくない。泡立ちを防止する観点から水質基準値が定められている。

毒性はほとんどないものの量が多いと味や機器(配管や給湯器)に障害が出てくる物質

pH低いと酸っぱいし、高いと苦い。
中性が一番。低いと配管などの鉄を腐食させる。
ちなみにこれは、ピーエイチと読みます。ペーハーという人が多いですが、本来はピーエイチです。
硬度カルシウムやマグネシウムの総量だが、多すぎると硬い味になり、トイレや給湯器に白いスケールを生成させる。
蒸発残留物硬度と同じ理由。
ナトリウム
塩化物イオン
濃度が高いと塩味になる。
配管がさびやすくなる。

多量に摂取すると健康被害が起きる物質

硝酸性窒素
亜硝酸性窒素
フッ素
ホウ素
四塩化炭素
これらは量が多いとそれぞれ特有の健康被害を引き起こすことがあります。
しかしフッ素は少量(1mg/L程度)入っていると虫歯を防ぐ効果があるといわれ、アメリカやオーストラリアでは水道水に添加されています。
水銀
ヒ素
カドミウム
セレン

ヒ素
大腸菌など
上段よりも危険な物質、毒性のある物質で、聞いたことのある、公害でも有名な物質が並びます。
四塩化炭素
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
総トリハロメタン
ベンゼンなど
耳慣れない難しい物質名ですが、これらの塩素系、臭素系の有機化合物は発がん性を有する疑いがあります。
工場跡地などの産業活動による、地下水汚染に由来するケースが多いようです。

水を中心としたコストダウンと省力化と防災対策

以上、簡単に規制物質の一部を解説しましたが、水道水の水質基準項目は合計で51項目もあります。
今回は、いくつかを抜粋して分かりやすくご紹介しました。

現在の水道水の水質基準は、平成15年に大幅な改正が行われ制定されたものですが、
こうした水質基準項目は、徐々に増えていく傾向にあり、また基準値も厳しくなってきています。

最近では、平成26年に”亜硝酸態窒素”が水質基準項目に追加されました。
各自治体の水道局や前述の専用水道の事業者は、水質を定期的に分析し、安全な水を供給する義務を負っています。
そのために水処理機器のメンテナンスや、投入する殺菌剤、薬品の補充などの管理業務を日夜行い、皆さんの生活を支えています。

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