毎月届く水道料金の請求書を見て、「うちの工場、こんなに水道代がかかっているのか」と感じたことはありませんか。

法人施設の水道料金を削減する方法は、実は一つではありません。大きく分けて上水道の契約見直し工業用水道への切替自家水道(深井戸)の導入の3つの選択肢があります。 しかし、どの選択肢が自社に合うかは、使用水量・地域・業種・目的によって大きく異なります。「メリットが多い」と聞いて導入したが期待ほど削減できなかった、という事態を避けるために、本記事ではそれぞれの特徴を整理し、自社にとって最適な判断ができるフレームを提供します。


この記事で確認できること

  • 上水道・工業用水・自家水道の仕組みとコスト構造の違い
  • それぞれに向いている施設の条件
  • 自家水道を検討する際に見落としがちな5つの注意点
  • 社内で検討を始めるための具体的な3ステップ

法人が使える3つの水源——何が違うのか

比較の全体像

項目上水道工業用水道自家水道(深井戸)
水源浄水場で高度処理された水河川水等を一次処理した水自社敷地内の深井戸から揚水
水質飲料水基準(51項目)工業用水基準(飲用不可の場合あり)浄水処理後、飲料水基準をクリア可能
料金体系従量制(使うほど単価が上がる逓増制)基本水量+従量制(上水道より安価)初期費用なし(リース型の場合)、基本契約水量制
コスト水準高い(250円/m³以上の地域多数)上水道の1/3〜1/5程度上水道比で10〜30%削減(条件による)
利用可能地域全国(水道局管轄)工業用水道が整備されている地域のみ地下水が取水可能な地域(要調査)
飲料利用追加浄水処理が必要専用水道申請により可
BCP価値断水時は利用不可断水時は利用不可独立水源として断水時も利用可
初期投資なしなし(接続工事費のみ)プラント設置(リース型なら初期費用なし)

⚠️ この表の読み方: 単純に「安い方がいい」ではありません。水質要件、利用可能地域、BCP目的の有無によって、最適解は異なります。以下で判断基準を整理します。


どの水源が自社に合うのか——判断フローチャート

チェック1: 工業用水道が使える地域か

工業用水道は全国に整備されているわけではありません。使用可能かどうかは、管轄の都道府県企業局に確認が必要です。工業用水道が使える地域にあり、飲料水質が不要な用途(冷却水、ボイラー給水等)がメインであれば、工業用水への切替が最もシンプルなコスト削減策です。

チェック2: 月間上水道料金が100万円を超えているか

月間の上水道料金が100万円未満の場合、自家水道のコスト削減メリットは限定的になる可能性があります。目安として以下の条件を確認してください:

判断基準具体的な数値
月間使用水量4,000m³以上
上水道単価250円/m³以上
月間上水道料金100万円以上

上記のいずれか1つでも該当すれば、自家水道の導入によるコスト削減が見込める可能性があります。

📌 なぜ「100万円」なのか: 自家水道の導入・運用には、井戸掘削、プラント設置、月次メンテナンスのコストが発生します。これらを上水道料金の削減額で回収するには、一定の使用水量が必要です。この閾値は、導入実績に基づく概算であり、正確な判断は個別のシミュレーションで行います。

チェック3: 飲料水質が必要か

食品工場、病院、ホテルなど、飲料水として使用する施設では、水道法に基づく専用水道の申請が必要です。自家水道でも飲料水質の確保は技術的に可能ですが、保健所への届出や毎月の水質検査などの管理義務が伴います。

チェック4: BCP(事業継続計画)の要件があるか

自家水道は独立した水源であるため、上水道が断水した場合でも取水を継続できます。医療機関のBCP義務化や、工場の事業継続計画において「水源の二重化」が求められている場合、コスト削減とは別の価値を持ちます。


自家水道を検討する際に見落としがちな5つの注意点

1. 下水道料金は変わらない

自家水道に切り替えても、排水は下水道を経由するため、下水道料金は従来通り発生します。 削減されるのは上水道の使用料金部分のみです。井戸使用分については下水道局への課金届出が必要です。

2. 上水道の基本料金は残る

完全に上水道を止めるわけではありません。プラントの点検・修繕時のバックアップとして、1日1回は上水道を使用する設計が一般的です。そのため、上水道の基本料金(少額)は残ります。

3. 井戸掘削ができない地域がある

地域によっては、条例で井戸掘削が規制されています。環境局への事前確認が必要です。ただし、規制の有無は調査段階で判明するため、調査費用を負担した後で「掘れない」と判明するリスクは、ミズカラ株式会社(当社)では調査費用を負担することで排除しています。

4. 削減額は「上限値」で判断しない

「年間最大720万円削減」のような上限値だけで判断すると、実際の削減額とのギャップが生じます。削減額は使用水量、地下水の水質、地域の上水道単価、切替可能な割合により変動します。シミュレーションは月間上水道料金の10〜30%削減を目安として考え、正確な数値は事前調査で確認することを推奨します。

5. 契約期間がある

自家水道の導入契約は一般的に10年(3年〜15年選択可)です。基本契約水量(年間使用量の80%程度)を下回っても料金が発生します。事業計画上、今後の使用水量が大幅に減少する見込みがある場合は、契約期間の設計を事前に相談する必要があります。


社内で検討を始めるための3ステップ

ステップ1: 現状の水道コストを把握する

確認する情報確認方法なぜ必要か
月間の水道使用量(m³)水道局の検針票導入対象か判断するため
月間の水道料金(円)経理部門の請求書削減額のシミュレーションに使用
上水道単価(円/m³)請求書または水道局に確認地域差が大きいため

ステップ2: 自社の条件を整理する

確認する情報確認先なぜ必要か
工場・施設の所在地井戸掘削規制・地下水条件の確認
プラント設置可能なスペース施設管理部門駐車場5〜6台分(約25m²、分散配置も可)
飲料水として使用するか品質管理部門専用水道申請の要否
BCP対策としての水源確保が必要か総務・安全管理部門コスト以外の導入目的の明確化

ステップ3: 導入可否の事前診断を受ける

上記の情報が揃ったら、導入可否の事前診断(無料)を受けることで、以下が明確になります:

  • 自社の立地で地下水が取水可能か
  • 想定される削減額のシミュレーション
  • 導入スケジュールと必要な手続き

よくある質問

Q. 自家水道の導入に初期費用はかかりますか?

リース型(ESCO方式)の契約であれば、プラントの設置費用をミズカラ株式会社(当社)が負担するため、お客様の初期投資はゼロです。 月々の使用料金で運用します。ただし、買取型の契約も選択可能です。契約形態は個別の条件に応じて設計します。

Q. 水が出なかった場合、調査費用は請求されますか?

井戸掘削で地下水が確認できなかった場合、ミズカラ株式会社(当社)の責任・費用で現状復帰します。お客様が調査費用を負担することはありません。

Q. 工業用水道と自家水道を併用することはできますか?

可能です。工業用水道が整備されている地域では、飲料用途を自家水道、非飲料用途を工業用水道で分けるなど、用途に応じた最適な組み合わせを設計できます。

Q. 導入後のメンテナンスは誰が行いますか?

毎月の定期訪問で点検・水質分析を行い、検査結果書を提出します。お客様にお願いするのは、1日1回の蛇口での目視確認(約1分)のみです。

Q. 契約期間の途中で解約できますか?

契約形態により異なりますが、一般的な契約期間は10年です。契約満了後は、解約(撤去費用はミズカラ株式会社(当社)負担)、再契約(初回の約7割の料金)、買取(残存簿価)の3つの選択肢があります。途中解約については個別にご相談ください。


次のステップ

「自社の水道料金を削減できるか」を確認する最も確実な方法は、現状のデータをもとにしたシミュレーションです。 上記の「ステップ1」で確認した月間水道使用量と料金を手元に準備の上、以下からお問い合わせください。

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