「工場の省エネ化」と言うと、多くの場合「水・電力・燃料」の3点に関する省エネルギーのことを指します。
電力の省エネは、太陽光発電の設置や契約内容の変更、あるいはAI管理による効率化など様々な手法があります。また、燃料の省エネについては燃料そのものの変更など、非常に分かりやすい改善策がある一方で、水質改善というと工場の省エネ化との関係性がいまいちピンとこないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、水質改善と工場の省エネ化の関係について詳しく見ていきます。
水質が悪化して起こる様々な現象とは?
工場で水を使用する場面と言えば、例えば「水で洗う(洗浄)」「水を使って冷却する(冷却水)」といった例が挙げられると思います。
ここでは、「冷却水」に焦点を当てて、冷却水の水質悪化によるメンテナンスコストの発生について、記したいと思います。
分かりやすい例としては、冷却塔の水質を適正に保つための薬剤費が挙げられるでしょう。加えて、清掃代や管理調査費などにもコストが発生しています。
このようなメンテナンス費用が、どれほど発生しているか把握されていますか?薬品量や清掃頻度が適正かどうか、見極めましょう。
しかし、冷却塔の水質管理は重要です。水質管理にコストがかかるからと言って、しなメンテナンス頻度を不用意に少なくすることはオススメしません。過度に水質管理を行う必要はありませんが、「適正な」管理を心掛けてください。
また、冷却水を貯めている冷却塔のメンテナンスだけでなく、冷却水を運ぶための配管に問題がある場合もあります。最も分かりやすいのは赤錆です。赤錆が過度に発生すると、水温を上げてしまうため、冷却効率が大幅に下がってしまい余分なエネルギーコストが嵩みます。
赤錆を防ぐためにも、適正な水質管理を行いましょう。そうすることで、冷却効率を高めることがき、省エネになります。
さらに、水質をしっかり管理しておくことで、排水費用を下げることもできます。
排水の水質管理や水質の改善を試みることにより、排水処理にかかる工程が少なくなり、排水費用を圧縮できるのです。
また、排水費用だけでなく、工場内にある排水処理場の悪臭や環境を改善することで、従業員のモチベーションが向上するというメリットもあります。
水を再利用する?水を使った省エネ化とは?
水関係の省エネ化は意外と広範囲に広がっています。
例えば、水を浄化するために電気分解をしているのであれば、その水質を適正に管理しておけば、電気分解の必要がなくなり電力の省エネにつながることが期待できます。
また、排水の再利用も、省エネ効果があるでしょう。しかし、排水の再利用は、排水処理の技術や排水量によっては、省エネにつながらないこともあるので、見極めが重要です。
排水の処理でよく使われる技術には、微生物の働きや遠心分離技術を利用したものなどがあります。
微生物の働きを利用した排水処理では、水質浄化促進や腐敗防止、ヘドロの発生抑制などの効果が期待できます。また、こうした排水処理を行うことで、機材の延命化を図ることができるので、省エネ効果が非常に高いといえます。
また、遠心分離技術を利用した排水処理技術は、油やスラッジなど、水に溶けだしているものを分離させることができます。そのため、排水から再利用できる物質を取り出すことが可能です。さらに、フィルターを利用せず、水の部分だけを捨てられるのであれば河川放流も可能なので、大きく排水処理コストを圧縮することができます。
これらの技術は、電力や薬剤の消費量を抑え工場の省エネ化に貢献できるでしょう。
省エネ化を考える上で必要なこと
工場の省エネ化を考える上で大事なことは、工場の運用対策だけでなく保守管理まで考える必要があるということです。特に、水質については、水そのものを変えるということは難しいので、今使用している水をどのように管理していくかを考える必要があるでしょう。省エネ対策となる機器の導入の際には、その機器によって、今まで行ってきた保守管理がどのように変化していくのかを考える必要があります。
なお、省エネ対策を始めるためには「計測・診断」が必要不可欠です。「計測・診断」を行うためには、エネルギーの使用状況や季節による変動、生産計画を把握する必要があります。水質の管理では特に、「エネルギーの使用状況」に注目する必要があるでしょう。この「エネルギーの使用状況」を把握しながら、機械設備を見直していくことになります。
最近の機械設備は、最新であればあるほど省エネの効率化が進んでいるので、老朽化が進んだ機械設備を最新式に切り替えるだけでも省エネ化につながることもあります。
新しい技術を導入するときは、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストにも着目することが重要ですね。
まとめ
工場の省エネ化と水質改善による省エネ化の関係性についてご紹介しました。水質改善に関しては、見落としてしまいがちなことも多いですが、様々な対策を行うことで、省エネ化を成功させることができます。工場の省エネ化の良策が思いつかないと感じた時は、水質管理についても意識を向けてみてください。思わぬ効果が出てくることもありますよ!
水質改善などでお困りの場合は、お気軽にご相談を。
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