製造業では工場の製造に関わる経費によって、利益の幅も大きく変わるかと思います。
しかし、なかなかコストダウンできないと悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回はアイデア一つで、工場の経費を劇的にコストダウンさせる方法をご案内したいと思います。
目次
製造業が利益を出すにはどうしたらよいか
製造業において利益を出すのは、「売上を上げるか」もしくは「経費を削減するか」どちらかだと思います。
経費を削減する場合は、どの部分を削れば良いのでしょうか。
経費を削減する
経費・製造経費とは、材料費と労務費以外の原価要素のことを指します。
材料費 | 製品を製造するために消費した物品にかかる費用。 |
---|---|
労務費 | 労働において発生する原価。 |
経費・製造経費 | 材料費、労務費以外の原価要素。 |
「経費を削減する」のが目的でしたら、まずは水道光熱費(電気・ガス・水道料)を削減するのがオススメです。
水道光熱費に関しては、企業努力やアイデア次第で削減できる部分が大きいのです。
企業の収益に対してかかる経費はどのくらいか
税務署は、各事業に対しての経費率(収入に占める経費の割合)の目安を持っています。
一般的には、①卸売業 約90% ②小売業 約80% ③製造業 約70% 飲食業、サービス業 約50~55% と考えられています。
工場を劇的にコストダウンさせるアイデアとは
最も実行しやすく効果が分かりやすい水道光熱費を中心に、エネルギーの観点からコストダウンのアイデアをまとめてみました。
電気使用料金を削減する方法
電気使用料金のうち全体の4割が、照明の費用です。
見直し方法として「インバーター方式」「LED照明」「照明の間引き」の3つが挙げられます。
①グロースターター方式からインバーター方式へ変更する
かつては、グロースターター方式が一般的でした。
グロー球という点灯球が先に点灯し、蛍光灯が点くものです。
一方でインバーター方式は、グロー球を電子化し点灯するため、スイッチを入れるとすぐに点灯します。また、インバーター方式の点灯の回数はグロースターター方式よりも約100倍ほどであり、とても明るいのが特徴です。
インバーター方式のメリットは、
①スイッチを入れたときにチカチカと点灯しないため、目にも優しい。
②明るさを数段階に調節できる。
③グロースターター方式に比べ1.5倍明るく、電気代も節約できる。
ということがあげられます。
一方でデメリットは、初期投資がかかる点と、蛍光灯の数を減らしては使用することができないという点があげられます。
例えば、インバーター方式だと、3本のうち1本を外して使うことはできません。かつてのグロースターター方式であれば、2本だけ設置しても使用することが可能でだったので、その点は注意しましょう。
②LED照明へ変更する
LED照明は、いまや一般家庭でも多く使われています。白熱電球に比べ価格が高いので初期投資はかかりますが、消費電力を8割ほど削減することができます。
LEDの消費電力は白熱電球と比べ、約86%削減します。また、寿命は4万時間と言われ、白熱電球の40倍の寿命を誇ります。
参考:Panasonic 良質設計のヒミツ大公開!LED電球Q&A| https://panasonic.jp/lamp/question.html
メリットは、消費電力が少ないため電気代が安くなり、また、二酸化炭素の排出量が少なく環境にやさしいという点です。さらに、熱量が低いので空調コストも抑えることが可能です。
デメリットは、使う場所に向き不向きがあるという点です。例えば、LED照明は熱に弱いため、浴室など熱がこもる場所で使用すると破損する可能性があります。また、均一に光を放射できないため、場所によって明度が異なる場合があります。
③工場の照明の間引きをする
これは、初期費用いらずで簡単です。
工場の照明は一般家庭より非常に明るいため、作業場の電気で必要以上に設置されている箇所の照明を外します。インバーター方式やLEDを取り入れるだけの節電方法と違い、節電していることが従業員に伝わりやすく、意識づけには効果的です。
しかし、暗くなり過ぎると作業効率が落ちたり安全性に欠けたりする場合もあるため、やり過ぎは禁物です。
④地下水を利用する
地下水の特徴の一つは、一年を通して水温が一定であるということです。
そのため、地下水を上手く利用することで、加熱、保温もしくは冷却をするエネルギーコストを抑えることができます。
ガス使用料金を削減する方法
ガス会社の見直しをしてみましょう。
法人向けのガスは、実は、1995年には、大規模工場や医療施設を対象にガスの自由化がスタートしていました。小規模商店は2017年からスタートしています。参入企業も商社やエネルギー企業など、様々です。
ただ、業者が増えた分、料金プランが複雑になっています。
ぜひ専門業者に相談し、相見積もりをとるとよいでしょう。
水道使用料金を削減する方法
水道使用料金を削減する方法として「自家水道システムの導入」と「節水弁の導入」の2点があげられます。
①自家水道システムの導入
自家水道システムとは、上水道を利用するのではなく地下水や余剰工業用水を利用して、その水を飲料水や用水として利用する装置のことです。
工場では、製造用水や洗浄、散水などとして大量の水が使用されており、その水道料金は上水道を持つ各自治体によって異なります。
水道料金が高い地域では特に、自家水道システムを導入して、地下水や余剰工業用水の利用にシフトするとコストダウンの幅が大きくなるでしょう。
地下水を水源とした自家水道システムを導入するためには、専門業者を利用して井戸を掘り、地下水の汲み上げを行う必要があります。
そのようにして施設内に水源を確保をすることで、水道使用料金のコストダウンだけでなく、災害時などにおける二次水源としても活用できるのです。
気になるのが費用についてです。
挿入にあたっては、例えば井戸の掘削費や工事費などの初期費用、導入後のメンテナンス費や薬品代、地下水を汲み上げるための電気代などが発生します。
初期費用に関して不安を感じているのであれば、当社は”オンサイト方式”での導入方法を積極的にご提案しております。
オンサイト方式での導入であれば、初期費用不要、導入リスク0(現状復帰保証)、コストダウン保証で自家水道システムの導入が可能です。
お支払いいただくのは実際の使用水量に対してのサービス料金(従量料金制)です。
設備のメンテナンスや機器の修理や交換、法定水質分析などの費用も含まれていますので、突発的な費用が発生することがありません。
イニシャルコスト不要というだけでも、導入に関しての不安がぐっと減りますよね。
②節水弁の取り付け
簡単な節水手段です。現在使用している水道蛇口部分に、節水用の弁を付けることで実現します。効果は1/4の開度で8%程度の節水が可能です。
省エネはCSRにつながるってホント?
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が利益を追求するだけでなく、社会的な責任を持ち、あらゆるステークホルダーからの要求に対して適切な意思決定をする責任のことをを指します。
参考:経済産業省 企業会計、開示、CSR(企業の社会的責任)政策|http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/
東日本大震災の折に、企業に対しての電気供給問題が取り沙汰されていました。
また、環境問題について言うならば、省エネや省資源など環境に配慮することで、持続可能な社会を実現することに貢献していくことが、CSRにつながると考えている企業が多くあります。
実際に、CSRとして省エネに取り組んでいる企業としては、例えば、総合スーパー大手のイズミヤさんがあります。環境・社会貢献活動として、マイバッグ持参の促進、環境に配慮した商品の取り扱い、廃棄物の削減などに取り組んでいます。
また、特殊鋼鋼材などを製造する三菱製鋼株式会社さんでも、CSRとして環境マネジメントシステムを構築・運用して、積極的な環境保全活動、地球温暖化対策を進めています。
参考:イズミヤ CSR情報|https://www.izumiya.co.jp/csr/
三菱製鋼株式会社 CSR情報|https://www.mitsubishisteel.co.jp/csr/
まとめ
いかがでしたでしょうか。
製造業の企業は、経費の大小が利益を左右することもあるでしょう。
ほんの少し気を付けることで、コストダウンだけではなく、社会的に課題になっている環境への配慮や省エネも実現できるのです。
社会貢献活動やCSRについて悩んでいる方も多いと思いますが、一番簡単なCSRは省エネではないでしょうか。
ぜひ、取り組みについて検討してみてくださいね。