当社もSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成に力を入れて取り組んでいますが、今回も目標6「水と衛生」について、ひも解いていきたいと思います。

SDGsに関する記事は、コチラもぜひご覧ください。

「不衛生な水」と「水不足」の問題

現代では、私たち日本人が日常生活を送る上で、「水」でストレスを抱える機会は限りなく少なく感じます。

蛇口をひねれば水が出ますし、「冷水」「温水」といった具合に温度まで調整できます。また、コンビニや自動販売機で水が手に入るので、喉が渇けばすぐに水を飲むことができます。お風呂に入りたい時には、たくさんの水を使って体を洗うことだってできる。

そして重要なことは、その水が「衛生的である」ということです。
しかし、世界中にはこんな生活ができている私たちとは、真逆の生活をしている人々がたくさんいます。

深刻化する水不足問題…人口の大半が、水源へのアクセスが極めて困難にある国が、中東や北アフリカには多数存在しています。不衛生な水の問題…衛生的な水が得られないことが原因で命を落としている人々が、1日に約4000人もいるという現状。

「水」というのは生命線の中心であり、「生きる」そして「暮らす」ために欠かせないものなのです。

そして、その「水」を得られることは、当たり前ではないということ。この視点で生活することを、時々でも思い出すことで、水のありがたさを再確認できるのではないでしょうか。

私たち日本人から見た”水”

まずは、実は貴重な存在である”水”を、日本で暮らす私たちの視点から見てみることにします。

私たちが水を使う場面は、主にどのような時でしょうか?

・調理、飲料水
・洗浄、洗濯、清掃
・入浴、洗髪
・トイレ

思いつくだけでも、このような用途でよく水を使っていますよね。このような作業は、私たちのにと生活にとっては特別なことではありません。

次に、日本人の一日の使用水量についてですが、みなさんは毎日どのくらいの量の水を使ったり飲んだりしていると思いますか?

以下のグラフが示すように、日本人の1日の平均使用水量は、約300Lと言われています。

生活用水使用量の推移(国土交通省)

引用元:水資源の利用状況|国土交通省

また、以下のグラフは具体的な使用用途の内訳です。

引用元:水資源の利用状況|国土交通省

内訳から計算すると、

入浴:約120L
トイレ:約60L
炊事:約60L
洗濯:約45L
その他:約24L

という使用量であることが分かります。

洗浄を目的にした用途での使用が大部分を占めていることが分かりますね。この数字を見て私は、それぞれの場面において「こんなに水を使う必要はないのではないか?」と思うとともに、確実にどこかで削減(節水)できる部分があると感じました。

発展途上国の人々から見た”水”

続いて、水をはじめとした基本的なインフラの整備が行き届いていない発展途上国に住む人々の視点から、”水”を見てみましょう。まず前提として知っておかなければならない点が、発展途上国の人々にとって、水の確保は命がけであるということです。

まずは、こちらの動画をご覧ください。

参考:水と衛生|SDGs TV

何キロも先にある遠い水源。
その水源にあるのは不衛生な水。
そして、整備されていない排水設備。

この地で生活する人たちにとって、水を取り巻く環境は過酷です。

例えば、エチオピアで暮らす13歳の少女は、1日のうちの8時間を水汲みに費やしているという現状があります。しかも、それだけの時間をかけて採集できる水の量は、たったの5L。さらに、その水は茶色く濁っていてまるで泥水です。

この水を、あなたは口に入れることができますか?私は、手を洗うことさえ躊躇してしまいそうです。しかし、こんな状態の水でも、「生きるためには飲まざるを得ない」といった環境で生きている人々が、この世界にはたくさん暮らしているのです。

不衛生な水出展元:どんなに汚くてもこの水を飲むしかない…。 | 日本ユニセフ協会

また、1日に約300Lの水を消費している私たちに対して、途上国の人々は、1日約50L以下で暮らしています。なお、この50Lという数字は「水の貧困限界域」と呼ばれていて、飲料水と個人衛生に必要な最低限の1日の水の使用量のことを指します。この限界域以下の水しか使うことができない人々が、世界には6憶人以上いるとも言われています。

参考:独立行政法人国際協力機構 JICA|monthly Jica 2007年11月号

限りある”水資源”を大切に

今回の記事を読んでみて感じていただけたかと思いますが、日本で暮らしていると、「安心・安全な水」が「自由にどこでも手に入ること」は当たり前であり、断水や渇水で水が手に入らない状態は災害時など有事の時に限られ、そのことを不便にさえ思う感覚が、私たちの水に対する価値観だということが分かります。

「惜しげもなく使用する様子」を、「湯水のように使う」と表現することがありますが、まさに日本人の感覚から生まれてきた言葉のように感じますね。もともと水資源や水質に恵まれている日本では、水に対する意識が低くなっても無理はないのかもしれません。

しかしだからと言って、「日本人は水を無駄使いしている」と言っているわけではありません。

日本の水道システムは、先進国の中でも群を抜いて優れています。また、工場廃水などで河川をむやみに汚さないよう、適切な廃水処理技術が確立されています。雨水や廃水のリサイクル技術の躍進も盛んで、限りある水資源を有効活用するべく、今後も研究、開発が続くでしょう。

このような日本の「水を大切に使う意識」は技術に表れ、その技術力の上に成り立っている価値観とも言えるかもしれませんね。

日本のこのような技術力や知恵が、世界の水の危機を救う一手になれば、嬉しいものです。


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