軟水、軟水装置シリーズが続きます。今回は第4弾です。

前回までの記事はコチラ。
”軟水”のこぼれ話から軟水装置のコストダウン方法まで解説!その1
”軟水”のこぼれ話から軟水装置のコストダウン方法まで解説!その2
”軟水”のこぼれ話から軟水装置のコストダウン方法まで解説!その3

今回は、軟水装置を軟水生成以外の目的で使用する場合について、記述いたします。

軟水装置の軟水生成以外の使用用途

軟水装置は、2価のイオン(カルシウムやマグネシウム)を1価のイオン(ナトリウム)に交換するものなので、硬度を除去するだけでなくいろんなことが可能です。

鉄、マンガン対策として

例えば、汲み上げた井水に鉄やマンガンがあった場合、
そのままでは水が使えないので、これらを除去する必要があります。
通常は除鉄除マンガン装置で除去しますが、鉄もマンガンも2価のイオンであるため、
軟水装置で処理できる場合があります。
”場合がある”というのは、鉄、マンガンがイオンでない場合もあるためです。
イオンでない析出したものは、軟水装置では取れないため、
これらはあらかじめろ過装置などで除去する必要があります。

鉄、マンガン対策として製造業でコストを抑えたい場合、
軟水装置への負荷は増えますが、除鉄除マンガン装置を設置せず、
軟水装置のみで対応することもあります。
その場合、初期コストは抑えられ場所も少なくなるというメリットがある一方、
イオン交換樹脂への負荷が増え交換頻度が上がり、ランニングコストが高くなることは避けられないでしょう。

アンモニア対策として

また、同様に井戸から汲み上げた水に、アンモニアが数mg/L程度含まれている場合があります。
アンモニアは水道水基準にはありませんが、殺菌や酸化のために添加した次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアが反応し、
殺菌力や酸化力の低いクロラミンという物質に変化してしまいます。
そうすると、必要な遊離塩素が無くなってしまうのです。
水道水として遊離塩素がない水質は水質基準を外れてしまうため、
一般的にはさらに次亜塩素酸ナトリウムを添加して、完全に反応除去させます。

しかし、あまりに大量の次亜塩素酸ナトリウムを注入すると、
臭素酸や塩素酸、発がん性のあるトリハロメタンが発生しやすくなります。
アンモニアは1価の陽イオンですが、軟水装置を通せばアンモニアも一部除去することができます。この場合、次亜塩素酸ナトリウムの使用量を大きく減らせるため、
水質の向上とともに次亜塩素酸ナトリウムのコスト削減にも有効となり、安全性も高まります。

その他の使用用途

その他、ボイラ運転のために、水中の硬度成分のほか、Mアルカリ(炭酸水素イオン)を除去したいという場合も軟水装置が使われます。
ただしこの際、イオン交換樹脂塔を2塔にして再生剤は一方が食塩、もう一方は塩酸を使い、
コンビネーションで設計する必要があります。
また、アニオン交換樹脂を使用して食塩で再生すると、
井戸水の中に含まれる硝酸性窒素を除去できます。
脱硝酸装置と言いますが、これも軟水装置の仕組みを応用している装置です。

以上、軟水装置を軟水生成以外の目的で使用する場合について、記述いたしました。
少し専門的な話が続きましたが、いかがでしたでしょうか。
ご参考ください。


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