水道料金の値上がりの動き拡大始まる

水道料金の値上げは、ここ近年でも着実に進行しています。
インフラの中でも最重要とも言える水の価値が上がってしまっているというのは、深刻な問題と捉えるべきでしょう。

水道料金値上げの実態

まずは直近10年間の値上げ幅について触れてみましょう。

平均水道料金の推移グラフ

出典元:マネーポストWEB https://www.moneypost.jp/325449

全国単位の水道料金は、10年間で20㎥あたり約160円/月ほど値上げしています。
年間で見ると、その額は約2,000円に上ります。

これは一般家庭での水道使用量を参考にした試算ですが、
水を多く使う工場や、商業施設、医療施設などは、今後ますます大きなダメージを被ることは容易に予想できますね。

なぜ水道料金は上がり続けているのか

ではなぜ、水道料金は高騰しているのでしょうか?

その大きな要因は2つあります。
1つは、安全な水を提供し続けるための財源の確保です。
もう1つは、人口減少や節水効果、節水意識の高まりによる使用量の減少です。

全ての国民が安全な水を自由に確保するためには、水道施設、設備の整備や更新、老朽化した水道管を修復、交換するなどのメンテナンスを施す必要があります。
さらに、近年多発している大規模な自然災害時にも耐えうるよう、耐震化などの防災対策の強化も必至です。
震災時に起こる断水の主な原因は、老朽化した水道管の破損によるものです。
早急に老朽化した水道管を更新する必要があることは明らかなのですが、地中に埋まった水道管の修復、交換作業には膨大な費用が必要となるため、なかなか進んでいないのが現状です。

これらの費用は多額で、かつ継続的に発生するものなのですね。
「財源がないから老朽化した水道管を放っておこう」というわけには、いかないのです。

では、このメンテナンス費や防災対策の財源は、どこから確保されると思いますか?

それは、ご存じのように、主に私たちが支払う水道料金から確保されます。

「消費者は、水道使用量に応じて水道料金を払う。
運営側は、それを財源として運営する」
という分かりやすい構図になっているハズなのですが、ここに潜む問題は、先ほども述べた「水道使用量の減少」です。

これらが起因して、水道使用量に応じた水道料金での収入が減少します。
節水は素晴らしいことですし、限りある水資源のことを考えると必要な技術なのですが、
「財源」という点では、マイナスに働いてしまうのですね。

吹田市すいどうにゅーす 水道の大きな課題出典:吹田市 すいどうにゅーすNo.54(2019年6月1日発行)

こちらの画像を見ると分かりますが、10年の間で水道料金の収入が減少していることが分かります。
そうなると、現状の水道料金では水道施設の維持費を賄うことが難しいので、水道料金の値上がりという形で収支を合わせる必要が出てくるのです。

水を中心としたコストダウンと省力化と防災対策

地域格差も著しい水道料金

人口減少が加速している地方の自治体では、都市部と比べて水道料金の値上がりが顕著です。

水道料金の地域格差が明確

利用者数によって、水道施設の規模などに多少の差はあったとしても、
1万人の利用者がいる地域に比べ、1000人の利用者で水道施設を支えている地域とでは、どうしても料金に差が出てきてしまうのです。
料金を据え置いて、「利用者が少ないからサービスや質を下げよう」というわけにはいきません。
「安全な水を自由に誰でも」使えることが、最重要なのです。

もちろん、人口減少だけが要因というわけではないのですが、1つの大きな要因であることは明らかです。
人口減少が続いている地域では、今後も断続的に水道料金の値上げが行われることが、予想されます。
必要な財源とは言え、利用者にとっては”出費”であることは間違いないので、少しでも値上げ幅が小さくなることを望みます。

今回は、上がり続ける水道料金の理由について、言及しました。
最後までご覧いただきありがとうございます。


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