製造業における利益の最大化には、大きく分けて2つのアプローチしかありません。
それは、「売上の増加」か「経費の削減」です。
しかし、原材料費やエネルギーコストが高騰を続ける今、短期間で効果を実感しやすいのは「経費の削減」です。
中でも、水道料金の削減は、意外と見落とされがちですが、着手しやすく成果も出やすい対策の一つ。製造工程や設備の見直し、水源の切り替えなど、取り組み方も多岐にわたります。
今回の記事では、工場における経費削減の具体策として「水道代の節約」に焦点を当て、実践的な方法をご紹介します。
継続的な利益確保に向けて、まずは「水」から見直してみませんか?
※本記事は、2018年9月14日公開の「利益の最大化!工場の水道代削減手順と具体的な方法」をベースに、最新の省エネ事例や技術情報を追加・再編集したものです。旧記事はこちら。
目次
水道代削減を成功させるための3ステップ|工場のコストを“見える化”して最大効率へ
製造業において水道料金の削減を図る場合、やみくもに取り組んでも効果は限定的です。また、どのくらい成果が出たのかを正確に評価できなければ、継続的な改善にもつながりません。
水道代の削減効果を最大化し、社内での正当な評価にもつなげるためには、明確な手順に沿ったアプローチが欠かせません。以下に、推奨される3つの基本ステップをご紹介します。
①現状の水道使用量とコストを正確に把握する
最初に行うべきは、現在の水使用量と水道料金を「見える化」することです。
これは水コストに限らず、経費削減全般においても基本となる考え方です。
部署別、製造ライン別、設備ごとなど、どこでどれだけ水を使用しているのかを把握することで、改善すべきポイントや無駄の多い工程が浮き彫りになります。
最近では、DXツールやスマートメーターを活用した自動集計も可能となっており、定量的な管理がしやすくなっているのも追い風です。
②現実的かつ継続可能な目標値を設定する
現状が把握できたら、次にコスト削減の目標値を設定します。
このとき重要なのは、「目標の妥当性」と「継続性」です。
高すぎる目標は従業員のモチベーションを下げてしまい、逆に低すぎる目標では削減効果が限定的になってしまいます。
特に新しい設備導入を検討している場合は、初期コストと回収見込みを慎重に試算し、達成可能かつ投資対効果の高い水準を目指しましょう。
また、一度の達成で終わらせず、**「削減した状態を継続できるか」**という視点も不可欠です。人手がかかりすぎる手法や業務効率を下げてしまう取り組みでは、長期的には逆効果になる場合もあります。
③削減方法を多角的に検討する
水道代の削減方法には、大きく分けて次の2つがあります。
オペレーションの見直しによる削減
(例:使用タイミングの最適化、洗浄工程の簡素化、冷却水の再利用など)設備投資による削減
(例:節水機器の導入、ろ過装置の更新、地下水の活用など)
ポイントは、あらゆる可能性をリストアップし、一つひとつ検証することです。
簡易な対応で成果が出るケースもあれば、中長期的には設備投資のほうが大きな効果をもたらす場合もあります。
2025年現在では、補助金や助成制度を活用した設備更新も多くの企業で進められており、水コスト削減は「今こそ着手すべきテーマ」となっています。
工場の水道代を削減する具体的な方法
工業用水を契約している工場では、契約水量の余剰分を上水道の代替水源として再活用することで、無駄な超過料金を防ぎ、コストダウンが可能です。
雨水・排水リサイクル・海水の利用
近年では以下のような再利用システムが注目されています:
雨水のトイレ・洗浄水への利用
排水のろ過・再利用
海水の淡水化(沿岸部の工場向け)
油分を含む排水の高度処理
自社にとって最適な手法の選定には専門的知識が必要ですが、ミズカラでは水処理のプロフェッショナルとして最適なご提案が可能です。
お悩みに応じたベストな解決策をご提案いたします。
工場の機械の再検討
どのような機械であれ、一般的に最新の産業機械、電化製品は省エネ化が進んでいます。水洗トイレなどでも同様ですが、機械や機器を見直すことにより節水を測る方法もあります。機器の導入費用が発生しますが、契約によってはリース契約やレンタル契約など、まとまった出費を抑える方法もあるでしょう。
スタッフ個々が節水に注意する
地道な方法にはなりますが、スタッフ一人ひとりが節水意識を強め、無駄遣いしないように注意するだけでも、一定の水道代削減効果は期待できます。節約を意識することで、水道だけではなく電気や備品、消耗品にもコスト意識が生まれますので、スタッフの意識改革という意味においてもスタッフに節水を呼び掛けることは重要です。
まとめ
今回の記事では、工場の水道代削減方法について、考え方(手順)と具体的な方法を解説しました。
工場の水道代削減のための方法は、以下の手順を踏んで検討してみてください。
- 現状把握
- 目標の設定
- 具体的な削減方法の検討
水道代の削減方法には、個々の従業員に「節水」を意識付けることも大切ですが、最新機器やシステムの導入、排水や雨水の再利用など、さまざまな方法が考えられます。
まとまった導入費用や業務への支障、スタッフのモチベーションの低下などの懸念点がある場合には、懸念点を払拭できるよう専門の会社に相談してみることをおすすめします。より効果的なコストダウンの方法を、提案してもらえるかもしれません。
工場の無駄な水道代を削減して、利益の最大化を目指しましょう!