本メディア「コストダウンナビ」でも何回か言及した”PFOS・PFOA”ですが、改めて”影響と除去の最前線”の内容として、本記事で解説したいと思います。

よろしければ過去の記事もご参照ください。

▶【リスク】有機フッ素化合物 PFAS(PFOS・PFOA)との向き合い方
▶【実は身近な製品に使われている?】話題のPFASを使用されていた製品7選

PFOS・PFOAの危険性と影響について

PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)およびPFOA(パーフルオロオクタン酸)は、いわゆるPFAS(パーフルオロアルキル化合物)の一種で、化学的に安定し耐熱性・耐水性に優れた化合物です。しかし、この化合物は人体や環境において以下の危険性があります。


危険性

    1. 環境への持続性
      • PFOS・PFOAは「永久化学物質」とも呼ばれ、自然分解しにくく、環境中に長期間蓄積します。
      • 土壌・水源に蓄積し、食品や水を通じて生物に取り込まれる可能性が高い点が懸念されています。
    2. 人体への健康影響
      • 長期間の暴露による蓄積が確認されています。
      • がんのリスク増加(特に腎臓がん、精巣がん)
      • ホルモンへの影響(甲状腺疾患やホルモンバランスの乱れ)
      • 免疫系の抑制(免疫力の低下)
      • 胎児への影響(出生体重の減少、発達遅延)
      • コレステロール値の上昇肝臓機能障害
    3. 規制されている国際基準
      • 欧州連合(EU)やアメリカでは、PFOS・PFOAの使用が厳しく制限されており、水中濃度の許容値も非常に低く設定されています。

除去方法

PFOS・PFOAの除去は困難ですが、以下の技術が利用されています。

  1. 活性炭吸着
    • 活性炭を使用してPFOS・PFOAを吸着する方法。粉末活性炭(PAC)または粒状活性炭(GAC)を使用します。
      家庭用浄水器にも取り入れられるなど広く普及している方法ですが、吸着能力が飽和すると効果が低下するため、定期的な交換が必要となります。またPFOS・PFOAが吸着した活性炭は900度以上の焼却処理が必要となります。
  2. 膜分離
    • 逆浸透膜(RO膜)ナノ濾過膜(NF)といった高性能なろ過膜を用いることにより、PFOS・PFOAを除去します。また濃縮側に含まれるPFOS・PFOAの扱いにも注意が必要です。
      除去率90%を誇り非常に効果的ですが、初期コストとエネルギー消費量が高い点がデメリットです。
  3. イオン交換樹脂
    • PFOS・PFOAを樹脂に吸着させて除去する方法です。
      効果的ではありますが、樹脂の再生処理が必要です。また再生時に排出するイオン交換樹脂に吸着されたPFOS・PFOAの扱いにも注意が必要です。
  4. 高温焼却
    • PFOS・PFOAは、高温で焼却することで分解可能な物質です。
      そのため、工業廃棄物処理の一環としても活用されている除去方法です。完全分解を図ることができますが、高エネルギーを要し、また排ガス管理が必要となります。
  5. 高度酸化プロセス(AOPs)
    • PFOSやPFOAの分解には、オゾン、紫外線、または過酸化水素を用いた高度酸化が有効です。
      酸化剤と触媒(UV光など)を組み合わせて分解しますが、完全除去には多くのプロセスを必要とし、その分処理時間が長くなり、
      また設備が複雑になることが想定されます。
  6. 生物学的処理
    • 微生物を用いたPFOS・PFOAの分解は、現在研究段階ですが、一部の酵素が分解に寄与する可能性がありますが、実用化にはまだまだ課題があり、現時点では有効な除去方法とは言えないのが現状です。

まとめ

PFOS・PFOAのような物質は、その安定性から多方面で使用されてきましたが、環境や健康に深刻な影響を及ぼすことが指摘されるようになりました。分解されにくいその特性から「永久化学物質」と呼ばれ、現在では世界的に規制が強化されています。
除去には技術的課題がまだまだ存在しますが、安全で高品質な製品やサービスを提供するためには、有害な化学物質のリスクを適切に管理することが求められています。

PFOS・PFOAの除去を検討されている場合は、無償でご相談を承っております。

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