ボイラーや冷凍機、殺菌器や厨房の調理器など、水や蒸気を利用する設備は、常に腐食やスケールなどのリスクを抱えています。
そのため、設備のリスク回避のために水質や使用条件に合わせて、スケール除去剤や脱酸素剤など、さまざまな水処理薬品が利用されています。
しかし最近は、薬品=環境破壊や、薬品=異物混入などという安全性に対するマイナスのイメージが強くなり、食品や半導体工場などを中心に、敬遠されるケースが多くなってきました。
そこで、水処理薬品の安全性について、今一度考えてみたいと思います。
目次
水処理薬品の安全性について
(1)原液取り扱いベース
これは薬品ごとに発行されるSDS(Safety Data Sheet : 安全データシート)で知ることができます。
SDSに記載されている情報には、化学製品中に含まれる化学物質の名称や物理化学的性質のほか、
危険性、有害性、ばく露した際の応急措置、取扱方法、保管方法、廃棄方法などが記載されます。
薬品が手に触れたり飲み込んだりした時や、誤って多量に流れ出してしまった時は、SDSの情報に則って、対処しましょう。
水処理薬品には、殺菌剤やPH調整剤など危ない成分が多量に入っていることがほとんどですので、これは必ず読んで薬品ごとに然るべき対応をしなければなりません。
(2)使用濃度ベース
先の原液ベースで危険な薬品であっても、それを添加した水は安全性に問題ない事を前提に、注入量などが決定されます。
なので基本的にそのレシピに則って使用している場合は問題がありませんが、注入装置の誤動作などで多量に薬品が注入されてしまうと話が変わってきます。
そのため、日頃の点検や変化に気づけるよう薬品の減量は毎日チェックしてください。
また、場合によっては水処理薬品注入後の排水が、窒素リンなどの環境基準を超えるケースも存在しますので、地域ごとの事情も考慮して分析しておくことをお勧めします。
(3)PRTRベース
先の環境基準に近いですが、PRTR法という法律に記載されている成分が、水処理薬品に含まれる場合は国に届け出が必要です。
PRTR制度とは、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質が、事業所から環境(大気、水、土壌)へ排出される量及び廃棄物に含まれて事業所外へ移動する量を、事業者が自ら把握し国に届け出をし、国は届出データや推計に基づき、排出量・移動量を集計・公表する制度です。
通常その要否はSDSに書いてありますので、一度チェックしてみましょう。
(4)品質システム系
ISOやHACCP、ASSCなど新手の品質システムが増えて来ております。これはその都度対応するしかないのですが、面倒なのでいっそのこと薬品の使用をやめてノンケミカル水処理装置を導入しようというユーザーも出て来ています。
しかしながらこの品質システムというのは、薬品の使用をやめさせるのが目的ではなく品質の向上や安全性が目的なのですから、水処理会社と共に求められる要件をしっかり理解した上で、適切に運用できるよう考えて行きましょう。
ノンケミカル水処理について
ノンケミカル水処理は、薬品を使用しないで済むため一見正しくて楽に感じるかもしれません。
しかし、設備保全にマイナスになり、結果として品質に影響が出る可能性をきちんと考えなければならないでしょう。
また、必ずしも薬品をやめることでコストダウンになるわけではなく、メーカーメンテナンスの費用なども嵩んで来ることも多々あります。
例えば、スケール除去剤を使用しない、ということは、メンテナンスや清掃だけで除去しなくてはならないので、その分の労力やコスト(人件費)は免れないというわけですね。
最悪なのは、磁気や電解処理などの様に、技術的に確立されていないものを導入し、多額の費用をかけても効果が見られない事も多々ありますし、安全性に関しても明確にはなっていない場合もあるでしょう。
因みにノンケミカル水処理で確立された技術としては、ろ過、イオン交換、膜処理、脱気処理などがあり、これらは水処理上の保証値(水質基準)がハッキリしているため信頼できます。
導入に際しては、水処理上のリスクを正しく理解した上での提案を求める意味で、装置メーカーに直接依頼するよりは、水処理運営に特化した企業に相談した方が良い結果になることが多いです。メーカーはとかく自社装置を売りたがりるものなので、少し注意しましょう。
水処理には色々な選択肢がありますが、安全性とともにそもそもの設備保全の目的を見失わないよう考えるのがベストです。
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