工場や設備のメンテナンスは、安定操業や安全を守るために重要ですが、
環境や周辺住民への配慮などにも影響します。
例えば排水や騒音、振動、煤(ばい)煙等、工場の外に関わる用件については、
法律で定められた基準を守る必要があり複数箇所での定期的な測定、報告が義務付けられています。
また、レジオネラなど、全てが法制化されていない分野に関しても
国や自治体が予防対策のガイドラインを出して注意喚起と対策の啓発を行っています。
例えば、こちらのようなマニュアルですね。
循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0109/tp0911-1.html
この様な「工場の外」に影響するものに関してのメンテナンスを怠ると、
問題が社内で収まらず、会社全体の評判低下など往々にして取り返しのつかない事態に発展します。
ですので、メンテナンス予算は費用対効果だけでなく、
このような会社のコンプライアンスや潜在リスクに関してもよく理解した上で行われるべきです。
発案者としては、項目の所に【法定】【指針】【近隣】【環境】【省エネ】【自主】など、
重要性が上司に解りやすいようにラベリングし、判断を仰ぐようにしましょう。
因みにガイドラインや国の基準の中にも、正式な基準としてではありませんが、
要監視項目や参考項目として記されている項目もあります。
施設の状況によって取り入れた方が良いものがありますので、
自主基準として積極的に管理した方が良いでしょう。
ところで、水質や騒音、振動のように数字で良し悪しが示せるものは良いのですが、
新型コロナウイルスのような人々の行動に関する予防対策は、
なかなか規制として出すことができません。
例えばソーシャルディスタンス2mという目安を示した事で、そのために経営が成り立たなくなったり、
市民が過度に反応して自粛警察のようになったりするなど、
難しい問題が起きていることは、記憶に新しいでしょう。
その点、設備管理やメンテナンスの世界では、
基準が与えられている事が当たり前のようになっていますが、
様々なバランスのもとに決められた基準というものがあることに対して、有り難みを感じますね。
どの業界においても当てはまることだと思うのですが、メンテナンス1つとっても、非常に奥が深いのです。
「ランニングコストがかかる」「作業負担が大きい」とメンテナンスを怠ってしまうと、
近隣住民への不評、環境汚染など、問題が大きくなってしまうこともありますよ。