「水道料金のコストダウンをしたいけど、何ができるかわからない…」
「水道料金を低く抑えたいけど、設備導入費はかけたくない…」

こんなお悩みをお持ちの工場・病院経営者の方は多いのではないでしょうか?

工場や病院が工業用水を使用している多くの場合、水道料金を払いすぎて損をしている可能性があります。

なぜなら、工業用水は基本料金と比べ超過料金が高額であり、あらかじめ使用水量を多めに設定し、超過料金が発生しないよう契約している場合が多いためです。また、途中の基本水量の変更や解約が難しいため、余裕を持って契約している企業が多いことも要因の一つと考えられます。

そこで今回は、そんな余剰工業用水を飲料水として活用し、水道料金の大幅なコストダウンを成功させる方法をお伝えします。

この記事を読めば、あなたの工場や病院における水道料金の非効率を見直し、コストダウンにいち早く着手できます


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工業用水とは何か

そもそも工業用水とは、何を指しているのでしょうか。

工業用水は、工業用水道を通って供給されている水であり、冷却や洗浄、ボイラーなど主に製造用水として使用されている水を指します。

我々が普段口にする飲料水とは違い、水処理の工程で殺菌処理やろ過はされていません。あくまで人体に触れる以外の用途で使用する用水のことを指しており、トイレの流水、ビルの冷却、洗浄、保温、またボイラー用水など、様々な用途で使われています。

また、工業用水は元々は、地盤沈下の原因となっている地下水の過剰な汲み上げを制限するため、国や自治体が地下水を工業用水道として管理し、地盤沈下を防ぐという側面がありました。

工業用水と水道水の違い

飲料水(水道水)にしても工業用水にしても、ダムや川、地下水脈から水を引いて貯水し、細かい砂やゴミなどを沈殿させる工程までは、ほぼ変わりません。

その後、水道水の場合は、ろ過したり殺菌したりする「浄水」を行い、人体に触れたり体内に入ったりしても安全な水を作ります。一方、工業用水の場合は、ろ過や殺菌は行わず、沈殿物を取り除いた上澄みだけを工業用水道に提供します

上水と工業用水の違い。一般的な上水では、配水の前にろ過・浄水の工程を経る。一方工業用水はそれらの工程がない。

これが、水道水と工業用水の違いなのです。

工業用水は有害か

工業用水とはいえ、イコール「有害」なのかというと、実はそうとも言い切れません。

沈殿物を取り除いた上澄みを使用するため、精密機械を扱っている工場でも製造用水として使用できる程度には、砂や細かいゴミ、不純物などが除去された状態で供給されます。

しかし、飲料水に適用されるような水道法に基づいた水質検査は行われていないため、工業用水をそのまま飲むことは控えるべきでしょう。

工業用水にも水質基準は設けられてはいるものの、飲料水の検査項目や基準値とは異なります。工業用水の水質基準は自治体によっても異なり、規定値が3項目しか定められていない地域(※)もあります。また、人体に有害な毒素や微生物などはほぼ排除されておらず、そのままでは飲料水としての使用はできません。

参考:埼玉県 – 工業用水の水質

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工業用水を上手に活用

工業用水は低料金である

規模の大きな工場では、上水道と工業用水道の両方を利用していることも多いでしょう。上水道と比較して工業用水道は非常に安価であり、工業用水道を使うことで水道代の節約になるからです。

例えば、とある工場の使用水量が3,000㎥/月であると仮定します。これを全て上水道でまかなうと、自治体にもよりますが水道料金は120万円/月程度、年間では1,440万円になります。

この使用水量3,000㎥/月を、上水道ではなく全て工業用水道でまかなうと、自治体にもよりますが水道料金は30万円/月程度、年間では360万円になります。

全てを上水道でまかなうより計算上は年間で1,000万円以上削減できることになります。

表:使用水量が3000㎥/月と仮定した場合すべて上水道の場合すべて工業用水道の場合
月間の水道料金120万円1,440万円
年間の水道料金30万円360万円

参考:東京都水道局 – 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)
参考:東京都水道局 – 工業用水道料金

この例はあくまで上水道を一切使用しない場合であり、実際にはこのように単純な計算になることはありません。飲料水の確保ができなくなるためです。
では、工業用水をどのように活用すれば、水道料金を削減することができるのでしょうか。

上下水道と工業用水を併せて使う

一般的には、製造用水として工業用水を、飲料水として上水道からの水を使用するというように、用途によって使い分けてます。

しかし、この方法では、工業用水を余らせなければならないという問題が発生します

工業用水の契約の仕組み

工業用水の契約の仕組みをご存知でしょうか?抑えるべき2つのポイントがあります。

ひとつめは、工業用水は「月の使用水量をあらかじめ決めて申し込む」という点です。契約水量分の料金は、実際にその水量を使っても使わなくても支払わなければなりません

ふたつめは「実際の使用水量が契約水量を上回った場合、基本料金よりも高額な超過料金を支払わなければならない」点です。

例えば、東京都の場合、基本料金は29~64円/㎥という一見低価格な料金ですが、超過料金は158円/㎥と2倍以上になります

東京都の工業用水道料率

基本料率第一種1m³につき29円基本水量中、井戸を廃止して工業用水に転換した水量の2分の1に適用します。ただし、転換水量が200m³/日未満の場合は、100m³/日までの水量とします。
第二種1m³につき64円基本水量のうち、第一種基本水量を除いた水量に適用します。
超過料率1m³につき158円基本水量を超えて使用した水量に適用します。

※基本水量…お客さまからの申込みを受け、当局が決定した一日当たりの予定使用水量

引用:東京都水道局 – 工業用水道料金

※東京都は令和5年3月31日をもって工業用水事業を終了する予定です。

参考:東京都水道局- 工業用水道事業の廃止について(令和4年3月16日時点)

これら工業用水の契約の仕組みによって、施設側は超過料金が発生するのを避け、契約水量を多めに申し込むことになります。また、同時に最低使用水量も定められているため、工業用水は必然的に余らせざるを得ません。さらに、契約水量の減量や解約も難しいのが現状です。

施設にとって、契約水量に対して工業用水が余ってしまうことは損でしかありません。しかし、この余剰工業用水をうまく活用できれば、大きなコストダウンが見込めます

余剰工業用水を飲料水に

先述したように、工業用水は飲料水としては適していません。では、その工業用水を飲料水にするとは、どういうことなのでしょうか。

それは、工業用水を高度な膜処理によりろ過し、飲料水として提供できるレベルまで浄水し供給するということなのです。

工業用水の一般的なろ過フロー 1. 原水槽 深井戸から組み上げた深層地下水を貯蓄 2. 急速濾過装置 急速濾過による前処理(通常の飲料水程度まで濾過) 3. 前処理水槽(調整水槽) 前処理した水の貯留・水量調整 4. 膜濾過装置 前処理した水の精密濾過(各種の膜濾過方式) 5. 処理水槽 とか処理した浄水を貯留 6. 24時間監視装置 残留塩素濃度、濁度、水量等を常時監視 7. 受水槽 浄水と浄水を混合して貯留 8. 飲料水、生活水として利用 備考 原水には、工業用水も利用できます 設置スペースは水質・水量によって異なりますが、10㎥/hで駐車場約4台分です。

余剰工業用水飲料化へのハードルと解決策

ここで施設側の大きなハードルになるのが、ろ過・浄水設備への初期投資です。メリットが分かっていても、費用がかかりすぎてはなかなか導入に踏み出すのが難しいのも事実です。

そこで、ミズカラ株式会社では初期投資のかからない「オンサイト方式」を採用することで、低コスト・低リスクでの設備導入を可能にしました

※オンサイト方式とは

井戸の掘削やプラント費用・基礎工事や配管工事・電気工事など、導入にかかる全ての初期費用をミズカラ株式会社が負担する方式のことです。設備は当社所有になり、お客様は供給される水の使用量に応じた料金を、従量料金としてお支払いいただく仕組みです。
また、契約期間中に発生する毎月のメンテナンス費用・薬品費・ろ過装置のろ過材などの消耗品費、ポンプなどの故障時の修理費に至るランニングコストも全て月々の使用水量1㎥あたりの従量料金に含まれています。

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なお、工業用水を飲料水として使用するためには、保健所から専用水道事業認定をしてもらわなければなりません。人体に入っても安全な水質かどうか、検査をし明確にするためです。

ミズカラ株式会社では、そういった導入までの難しい手続きも一手に引き受けます

余剰工業用水を活用することで、どれくらい経費が削減できるのか

工業用水を飲料水化することで、どれくらい経費を削減できるのでしょうか。
簡単な例を挙げてみましょう。

ある工場では、これまでは製造用水や飲料水を合わせて4,000㎥/月の水量を使っており、そのうち上水道から2,000㎥、工業用水道から2,000㎥という内訳でした。金額にすると、合計で約100万円/月の水道代がかかっていました。

例えば、これを現在使っている上水道のうち1,000㎥を工業用水道に変更し、上水道1,000㎥、工業用水道3,000㎥という内訳にしたとします。
上水道の水道料金は40万円ほどに抑えられる見込みとなり、工業用水の水道料金は少し上がりますが、おそらく30万円ほどです。
合計で月の水道代は70万円弱となり、30万円/月のコスト削減になるわけです。年間でいうと360万円の削減が可能になります。(東京都の料金を参考にしています)

月間使用水量4,000㎥のうち上水道から2,000㎥、工業用水道から2,000㎥使用しているとした場合、合計で月の水道代は約100万円。 一方、同じ月間使用水量4,000㎥のうち上水道から1,000㎥、工業用水道から3,000㎥使用している場合、合計で月の水道代は約70万円。 両者を比較した際、工業用水の割合を増やした後者は前者と比べて月間30万円のコストメリットを得ることができる。

もちろん、実際にはこれほど単純な計算にはなりませんが、普段使用している水量が多ければ多いほど、余剰工業用水をろ過して飲料水に切り替えることで、削減できるコストは大きいでしょう。

まとめ

工業用水は上水道に比べて非常に低料金ですが、高額な超過料金を避けるには、余剰分を見越して水量を契約しなければいけません。

したがって、余剰工業用水をいかに有効活用できるかが、水道料金コストダウンの鍵となるでしょう。

工業用水は処理を施すことで飲料水としても使用できるので、使用水量の多い工場や施設では、余剰工業用水を第二水源として使用できないか検討してみると良いかと思います。


ミズカラ株式会社では、余剰工水や水処理全般に関するお問い合わせを随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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