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東日本大震災での被災体験
丸山荘病院様は、茨城県の緑豊かな田園地帯に位置する、194床の専門病院です。
2011年の東日本大震災にて被災され、電気と水道が長期間に渡って断絶されたご経験があります。
理事長にお話しを伺ったところ、停電・断水により病院機能が全て停止してしまったが、特に断水は復旧までに時間がかかり大いに困られた、とのことでした。
入院患者様への三食のご提供、入浴、トイレや手洗いなど、平時は普通にできていたことが一切できなくなり、普段は何気なく使用されていた「水」の大切さを痛感されたそうです。
復旧後に、地下水を利用するため井戸を持つことをすぐに検討されましたが、実は丸山荘病院様には、設立当初から保有されている井戸があることが判明しました。
しかし、掘削した時期も井戸の深さも地下水の取水量も、全て不明でした。
また、行政に問い合わせたところ、地下水を飲用に利用するには手続きや申請が煩雑であり、ハードルが高いと感じていらっしゃいました。
数社から地下水を利用するため井戸掘削の提案もあったようですが、いずれも初期投資が必要であり、今後いつ発生するかわからない断水への対策としては高額な投資となるため、断水の危険性は認識しながらも、積極的な対策に手を打つことができない状況が続いていました。
採用の決め手は、初期投資ゼロと現状復帰の保証
そんな折、当社ミズカラ株式会社が提案したのは使用水量1㎥あたりのお支払いが可能な”オンサイト方式”での導入です。
井戸の掘削やプラント費用・基礎工事や配管工事・電気工事など、導入にかかる全ての初期費用を、当社で負担する方式のことです。
また、契約期間中に発生する毎月のメンテナンス費用・薬品費用・ろ過装置のろ過材などの消耗品費、ポンプなどの故障時の修理費に至るランニングコストも全て月々の使用水量1㎥あたりの単価に含まれています。
丸山荘病院様とのご契約期間は10年ですが、その期間中に追加費用を頂くことは、一切ありません。
さらには、井戸水(地下水)を飲用するにあたり二の足を踏まれていた要因の一つである、行政への手続き、申請書類の作成なども全て当社で代行いたします。
理事長にその旨ご説明申し上げた際に言われた一言は
『この内容で採用しないところはあるの?』というお言葉でした。
理事長曰く
『初期投資なしで、上水道代金も削減できて、現状復帰保証まであるのであれば当院のリスクは全くない これでオタク採算あうの?』
現状復帰保証とは
仮にご契約を頂いた後、井戸を掘削しても
①必要な水量が確保できない
②処理できる水質が担保できない
このような場合には当社の費用負担にて現状復帰して撤退する”という内容です。
現状復帰保証を行うことで、丸山荘病院様の導入リスクはゼロとなります。
理事長のご質問は、そこまでリスクを負ってオタクは採算とれるのか?ということでしたが、正直に申し上げて、お客様のコストメリット額の方が、当社利益より大きいことは、間違いありません。
但し、せっかくご契約頂いお客様にご迷惑をお掛けしないよう、当社もあらゆる方法で事前にリスクヘッジを行っています。
現状復帰保証を可能にする近隣井戸情報調査
リスクヘッジの一つが”近隣井戸情報調査”です。
お客様の近くで掘削された井戸(地下水)の情報を徹底的に集めて分析することで
- 本当に井戸を掘って地下水が得られるのか?
- 地下水が出ても、処理できる水質なのか?
を確認します。
近隣井戸情報(地下水の水質や予想水量、地質のほか、その地域の規制や条例など)を調査した結果、残念ながら水量が確保できない水質が担保できないと判断し、辞退する場合もあります。
しかし、一度引き受けたからには、井戸を掘削し満足する結果が得られなかった場合には、当社費用にて現状復帰することをお約束しています。これが原状復帰保証です。
丸山荘病院様には、初期投資が不要なことと、導入リスクがないことをご評価頂いた結果、ご採用頂く運びとなりました。
お客様の困りごとにフォーカスした更なる提案~LPガス非常用発電機~
井戸とろ過装置の導入で、断水対策を実現頂いた丸山荘病院様でしたが、被災のご経験により、もう一つのご懸念がありました。
”停電対策”です。
地下水を汲み上げるためのポンプやろ過装置は電気を使用して動かしているため、せっかくの断水対策も停電が同時に発生すれば使用できる量に限りが出てしまいます。
そこで、補助金を活用した”LPガス非常用発電機”の導入を並行してご提案いたしました。
通常、非常用発電機は軽油燃料を使用したディーゼル発電機が主流です。
しかし、軽油(液体燃料)を使用した非常用発電機には下記の様な弱点があります。
- いざという時稼働しない場合がある
- 稼働時間が短い
①軽油は液体燃料のため、保管温度や水分・空気との接触により品質に影響を受け、劣化していきます。定期的に交換しないと劣化が進み、いざという時に稼働しない可能性があります。一方、LPガスは液体燃料ではないため経年劣化の影響を受けません。何年経過しても燃料が劣化しにくいため、停電時の稼働には信頼がおけます。
②軽油を燃料とした発電機は、保有できる燃料量とその燃費から平均稼働時間は2~3時間と短い時間となっています。対してLPガス発電機は、”バルク貯槽”を利用することで大容量の燃料確保が可能となり、その量はゆうに72時間の稼働分を誇ります。
バルクとは「大きな」「巨大な」といった意味を持つ英単語です。
LPガスではガス容器の数倍の容量を持つタンクのことを”バルク”と呼び、バルクローリーによって現場で供給する方法をバルク供給方式といいます。
また移動できるものを「容器」、固定されたものを「貯槽」といいます。
補助金を活用し、購入金額を半額に
さらに、”バルク貯槽”を採用することによる大きなメリットがもう一つあります。
それは”補助金”です。
2020年現在、LPガス非常用発電機と共にバルク貯槽を導入するに際しては、一般社団法人LPガス振興センターから導入にかかる費用の2/3~1/3の補助金が付与されます。
もし、LPガス非常用発電機と、燃料タンクとしてのバルク貯槽及び設置工事費にかかる費用が2,000万円とすれば、半額の50%が補助金で賄える制度です。
いざという時の燃料劣化もなく、また長時間稼働を実現するLPガス発電機を導入するに際しては、この補助金は大変お得な内容であることは、間違いありません。
もちろん、補助金申請書の作成代行や申請代行も当方にお任せ頂きました。
防災バルクでは、LPガス非常用発電機の燃料としてだけではなく、直接LPガスをホースで取り出せるようになっています。
そのため、屋外での炊き出しも可能です。
井戸とろ過設備による断水対策に加えて、LPガスを利用した非常用発電機をご採用頂くことことで、丸山荘病院様は全てのライフラインが断絶されても、3日間の籠城に耐えられる施設となりました。
まとめ
POINT
- 被災されたご経験から、断水対策として井戸(地下水の利用)とろ過機を設置
- 井戸とろ過機は”オンサイト方式”により、初期投資なし、原状復帰保証で設備を導入
- 平時は上水道に代わる水として地下水をご利用頂くことで、水道代金を削減(削減率約20%)
- 3日間の稼働を実現するLPガス非常用発電機の導入で、停電とガス遮断にも対応
- LPガス非常用発電機は補助金の活用により約半額で導入実現
このように、当社は”水”に関する総合的なコンサルティングを得意としている企業ではございますが、例えば防災対策としては、井戸を掘削して断水対策を強化するだけでは十分とは言えないため、防災対策の一環として電気・ガスを含むライフラインの確保として、ご相談を承ることもございます。
お客様にとってのベストソリューションは何なのか。
そのベストソリューションの実現のためには、何が必要なのか。
お客様のお困りごとにフォーカスすることで、見えてくるものがあります。