美容と健康のために軟水を飲んでいる、という方も多いと思いますが、
皆さんも一度は聞いたことのある”軟水”について、こぼれ話とともに、軟水や軟水装置を使用するにあたってのコストダウンについて、4回に渡って記述したいと思います。
今回は、その1回目です。
是非、参考にしてみてくださいね。
1.軟水と硬水の違いとは?
軟水というものは、ご承知の方も多いかと思いますが、水中に含まれるカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)などの硬度成分を取り除いたもののことを指します。
ヨーロッパのミネラルウォーターは硬水で、日本の水は軟水と言いますが、実は硬度がいくら以下であれば軟水という明確な基準はありません。
WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」と定めていますが、我々水処理業界では、軟水と言えば硬度1mg/L以下(1度以下)の水のことを指します。
軟水の使用用途はさまざま
軟水は、水をイオン交換樹脂に通し、CaやMgをナトリウム(Na)に置き換えて生成されます。
このようにして生成された軟水を使用することが最も多いのは、おそらくボイラ用水としてでしょう。
ボイラを硬水のまま運転すると、過熱部の内部にCaやMgがスケールになって張り付き、運転できなくなってしまうことがあります。そのため、ほとんどの工場のボイラ室には、軟水装置が設置されていて、ボイラで使用する水を軟水に換えています。
そうすることで、スケールの発生を防止しトラブルなく運転させることができるのです。
軟水は他の用途でも使われています。軟水で洗濯すると洗剤の泡立ちが良く、汚れも落ちやすいことから、クリーニング店で使用されることも多いものです。家電メーカーでは、市販の洗濯機に小型の軟水装置を付けようかといった検討もよく行われているようです。洗濯機の価格がアップするので、実現しているという話は聞きませんが。
他にも、お風呂の水を軟水にするとお肌がすべすべしてとても良いと評判で、軟水風呂を目玉にしているホテルなんかもあります。同様に軟水シャワーを使うと、風呂上がりに肌に硬度成分が残らないので、アトピー性皮膚炎の改善に効果があるという話も聞いたことがあります。
また、軟水を使ってコーヒーを出すととてもおいしいとか、ご飯を炊くとふっくら仕上がるとも言われています。
以前、会社の商品開発で軟水を商品として売り出そうという計画がありました。その際にモニターとして軟水を使った生活を送り、感想をレポートとして出したことがあります。日本の水道水の硬度がさほど高くないせいもあり、その差は実際にはあまり分かりませんでした。その意見が採用されたのかどうかはわかりませんが、結局そのプロジェクトは中止になってしまいました。ミネラルウォーター以外で、軟水等の機能水を市販して、それが成功するということは、とても難しいことだと思います。
2.軟水装置について
簡単に軟水について書きましたが、軟水を作る装置は先にも述べたように、イオン交換樹脂を使った軟水装置が一般的です。イオン交換樹脂とは、ちょうど寿司ネタにある”とびっこ”のような魚の卵の形をしています。それが軟水装置内に大量に入っており、これに水を流すと水中のCaやMgがイオン交換樹脂中にあるナトリウムNaに置き換わります。単に硬度を除去するわけではなく、イオンがCaやMgからNaに入れ替わるのでイオン交換樹脂と呼びます。
イオン交換樹脂は硬度の入った水を流し続けると、CaやMgで飽和してしまい、それ以上軟水を作ることができなくなります。そのためイオン交換樹脂の再生を塩や食塩(NaCl)を使って行います。CaやMgで飽和したイオン交換樹脂に濃いNaClを通すと、再びNaに置き換わります。そして再度軟水を作ることができるようになります。この繰り返しを軟水再生のサイクルと呼びます。
次回の記事では、具体的なコストダウン方法についてご紹介したいと思います。
是非読んでくださいね。