工場の水道料金は、「知らないうちに増えている」コストの一つです。
生産量が変わっていないのに使用量が増えている場合、その多くは設備や運転条件に原因があります。

水道料金は基本料金と従量料金で構成されており、使い方次第で大きく変わります。
だからこそ、水の使い方を見直すことが、そのままコスト削減につながります。

こちらでは、現場で実際に行われている水道料金削減のポイントを整理します。

まず行うべきは「水の使用量の見える化」

水道料金削減の第一歩は、工場内でどの工程がどれだけ水を使用しているかを把握することです。
多くの工場では、総使用量は把握していても、工程別の使用量までは把握できていないケースが少なくありません。

例えば、次のような用途があります。

  • 冷却水
  • 洗浄水
  • ボイラ給水
  • 製造工程水
  • 敷地清掃や散水

工程ごとに使用量を把握することで、無駄な使用や異常な増加を早期に発見できるようになります。
水使用量の見える化は、エネルギー管理の分野でも重要な手法とされています。

参考)資源エネルギー庁|省エネルギー法の概要

漏水対策は最も効果が出やすい削減方法

工場で意外に多いのが、配管の漏水による水使用量の増加です。
漏水は気付きにくく、長期間放置されると大きなコスト増につながります。
漏水の確認は最優先で行いましょう。

例えば、

  • 地中配管の腐食
  • フランジ部の微小漏れ
  • 冷却塔周辺配管の劣化

などが漏水の原因となります。

多くの自治体では、漏水による水量増加が確認された場合でも、水道料金は原則として利用者負担となるとされています。
そのため、日常的な点検が重要です。

参考)大阪市水道局|漏水時の水道料金について

夜間停止時にメーターを確認するなど、定期的なチェックを行うことで漏水を早期に発見できます。

冷却塔の運転条件を見直す

工場で大量の水を使用する設備の代表例が冷却塔です。
冷却塔は蒸発によって熱を放出するため、運転条件によって補給水量が大きく変化します。

特に重要なのは、次に挙げる項目です。

  • 濃縮倍率
  • ブロー水量
  • 飛散水量

これらの管理が適切でない場合、必要以上に補給水が増え、水道料金が膨らみます。
逆に適切な水処理と運転管理を行えば、補給水量を大幅に削減できる場合があります。

環境省の事例では、冷却設備の更新や運転改善により節水効果が得られたケースが紹介されています。

参考)環境省|省エネ・節水設備導入事例

冷却塔は水処理管理の影響を受けやすい設備のため、薬品管理や水質管理の最適化が重要です。

再利用水の活用で水道水の使用量を減らす

すべての用途に、水道水(上水道)を使う必要はありません。
水道水をすべての用途に使う必要はありません。
工場内で使用した水を処理して再利用する方法や、下水処理水を活用する方法などにより、
水道水の使用量を削減することが可能です。

例えば、

  • 冷却補給水
  • 敷地散水
  • 洗浄水
  • トイレ洗浄水

などは、再利用水を利用できる場合があります。

国土交通省では、下水処理水(再利用水)を都市における安定した水資源として位置づけており、渇水時の代替水源や資源循環の観点から、その活用が重要視されています。

参考)国土交通省|下水処理水の再生水水質基準等マニュアル改訂に向けて

用途に応じて適切な水質管理を行えば、水道水使用量の削減につながります。

雨水利用も有効な選択肢

敷地面積が広い工場では、雨水利用も有効な節水手段です。
雨水は貯留して散水や洗浄に使用することができ、水道水の使用量削減に寄与します。

国土交通省は、雨水利用を推進するためのガイドラインや事例集を公表しています。

参考)国土交通省|雨水利用の推進

雨水利用は比較的導入コストが低く、節水効果を得やすい手法の一つです。

工業用水の利用を検討する

地域によっては、工業用水道が整備されている場合があります。
工業用水は飲料用途ではなく産業用途を前提とした水であり、水道水より安価に供給されるケースがあります。

経済産業省も、工業用水を産業活動を支える重要なインフラとして位置付けています。
参考)経済産業省|工業用水について

実際の現場でも、上水道から工業用水へ切り替えることで、コスト削減につながるケースがあります。

例えば、上水道単価が高い地域において、余剰の工業用水を活用することで、年間約150万円のコスト削減を継続している事例もあります。
参考)ミズカラ株式会社│【千葉県】余剰工業用水を活用した上水道コスト削減

また、既存の水源や設備を活かしながら、水の使い分けを最適化することで、水道水の使用量を抑えつつ安定供給を実現している事例も見られます。
参考)ミズカラ株式会社│【三重県】余剰工業用水を飲料水として活用 約65%の上水道料金削減に成功

このように、工業用水は単に切り替えるだけでなく、「どの用途にどの水を使うか」を整理することで、より高い効果が得られます。

一方で、工業用水の供給状況や水質は地域によって異なるため、導入にあたっては用途適合や将来の供給条件を確認した上で検討することが重要です。

水道料金削減は「水の使い方」と「管理」で決まる

工場の水道料金は、単に使用量を減らすだけでは大きく下がりません。
重要なのは、水の流れを把握し、どこに無駄があるかを明確にしたうえで、設備運用と水処理管理の両面から見直すことです。

実際の現場では、

  • 漏水の見逃し
  • 冷却塔の過剰な補給水
  • 必要以上の水質安全マージン
  • 再利用できる水の未活用

といった要因が重なり、無意識のうちにコストが膨らんでいるケースが多く見られます。

これらは大規模な設備投資を伴わなくても、運用改善や管理の見直しによって削減できる場合が少なくありません。
特に水処理の最適化は、設備保全やエネルギー効率にも関わるため、結果として全体のコスト低減につながります。

一方で、水の使い方や設備の状態は現場ごとに異なり、「何から手をつけるべきか分からない」という声も多く聞かれます。
水使用量の見える化や水処理条件の見直しなどは、専門的な知見があって初めて最適化できる領域でもあります。

自社の水使用に無駄がないかいか、一度客観的に見直してみることが、コスト削減の第一歩です。
現在の運用状況に応じた改善の方向性を知りたい場合は、水処理の専門会社へ相談することで、
具体的な削減余地が見えてくることもあります。

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