「工場の経費がかさむ」
「売上が右肩上がりなのに何故か粗利につながらない」
「何とかして余分なコストを下げたい」…

これらは、多くの工場経営者の方が頭を悩ます問題です。
その打開策として、「工場の省エネ化」「文書の電子化でペーパーレスを図る」「材料の仕入れ値を抑える」など、既に様々な方法で、経費削減に取り組んでいらっしゃる方々も多いと思います。しかし、モノに関わる費用を抑えることで、どれほど目に見える形での経費削減が実現するでしょうか。

この記事では、経費削減のために実行したことがかえってマイナスになったケースや、今まで経費がかさんでいた原因を踏まえた上で、全く別の視点から経費削減を劇的に実現する方法について、具体例を交えながら考えていきましょう。

経費削減した結果、かえって経費が増加したケース

企業によっては工場の経費削減に取り組んだ結果、かえって経費が増加してしまった例があります。
その原因は、今まで発生し得なかった新たな障害要素が発生し、その障害を取り除くために経費を使って対処せざるを得なくなったといったものです。

新たな経費削減体制下での顧客の減少

光熱費の経費削減として一番に思いつくのは、エアコンの設定温度の調整です。夏は常時28度、冬は20度が省エネの設定目安です。しかし、電気代の節約は叶いますが、それ以上に打ち合わせなどの営業に関わる費用がかさみ始めた例があります。

例えば、工場に出入りする顧客層の中には、昭和時代における慣習を持つ世代の方もいます。顧客によっては礼儀などを重んじて、絶対にスーツのジャケットを脱がない人もいるでしょう。特に年配者に多いケースですが、暗に部屋が涼しくなることを期待していることも多いのです。
このように、意思決定をする相手によっては、打ち合わせルームを経費削減のために28度設定にしていては、うまく行く商談もそうでなくなることすらあります。そうした場合、工場内の経費削減を実現したつもりがかえって、売上が減ることによって相殺されてしまいます。

今まで見えなかった新たな経費の出現

工場内のエアコンの設定温度の関係で、長年の顧客との商談に障壁をもたらしかねない場合には、商談時に相手先に出向く、もしくは商談スペースを借りるなどで対処することになります。そうすると、交通費や商談スペースのレンタル費用などが発生してしまいます。

経費発生の原因が工場内の部署間のトラブルにあったケース

次に、異なる部署間の不仲が工場の経費増加につながっている場合があります。これは、エンドユーザーに提供するシステムを異なる複数の部署で分担して作業している場合によく見られます。それぞれの担当部署が、自部署の担当分を協力会社とともに進めている場合、お互いの部署の利害関係が衝突することで、新たな経費が発生することがあるのです。
更に、エンドユーザーへの納品後にシステムで不具合が発生した際に、担当部署間で犯人探しが行われ、自部署に不具合はないことを確立するための作業が発生しがちです。自部署に非はないとするテスト成績書や報告書作成などの余分な作業が協力会社も巻き込んで発生し、それらが経費として加算されてしまうのです。

また、工場によっては、互いの部署が関わりを持たなくても完結するようなシステムを導入するケースもあります。その場合には、そのシステム作成費用や導入費用が経費として加算されることになり、経費は増加します。

工場内の派閥の維持のために経費が発生していたケース

工場内には、いくつもの人的ネットワークが確立していることがあると思います。そのネットワークが、自分のグループを他のグループよりも優位に持っていきたいために、お互いに貶める行為を行った結果、莫大な経費が発生していた場合があります。例えば、社用車や会議室など、1人1つ割り当てるのが不可能なリソースの場合、予約制などで順番にリソースを使うことが一般的かと思いますが、作業者が派閥で成り立っている場合、派閥間で力関係が発生しがちです。この時、所属する派閥による力関係で上位の派閥の人によって、優先度の高い作業を行う人が不当に後回しにされることが、残念ながら起こり得るのです。
その結果、本来かかるべき作業時間よりも大幅に上回る形で、作業時間がかかることになるため、生産性が格段に落ちることとなります。
また、本来ならば残業不要のレベルのジョブにも、派閥の力関係で個人が虐げられることにより、大幅な残業が発生し人件費が余分に発生する他に、それに伴う電気代などの諸経費がかかってしまうことがあります。

他にも個人単位では作業時間の大幅な短縮が実現できていても、派閥単位で恣意的に作業時間を長くしていることもあります。これは組織内の予算確保を狙って行われていることで、コストパフォーマンスの低下がつながることがあります。

人的要素で経費削減する方法とは

省エネや備品の節約など物的要素で経費削減を促しても、かえって経費が膨れ上がったり、部署間の不和や派閥などが原因で発生したりする経費を削減するためには、人的要素でのアプローチが最も有効です。

対顧客に対しては特例を設ける。

エアコンの設定温度など、従業員にとっては努力で乗り切れることでも、顧客など外部の関係者にまで適用することは、望ましいことではありません。そのため、応接室や商談ルームなど顧客との関係に絡むような場所では特例を設け、自由に温度設定ができるようにしておきましょう。快適な室内温度を保つことで、顧客との良好な関係性を保ち、また顧客からの印象を下げることのないよう努め、商談に臨めると良いですね。

部署間を対立させない組織づくりを考える。

部署間の利害関係が絡まない状況にすることで、各部署はお互いに自己防衛する必要がなくなってきます。そして、工場全体でトラブルが発生したときの、自部署の防衛に関わる余分な調査や上部への報告書、テスト成績書の作成などの業務が不要になります。

フラットな組織づくりによる組織内派閥の弊害を止める。

派閥は仕事上での価値観がお互いに異なった場合に、同じ価値観の仲間を引き入れ自分の価値観を守るために生まれるものです。そして、同じ派閥では業務を進める上での価値観が一致し、またそれを共有することでさらなる結束が生まれるものです。そこで派閥の解決にはその価値観の部分を利用します。
工場全体で価値観を一致させることで、派閥間の価値観の独立を防ぐことができるようになります。具体的には工場での業務の方針として業務の一つ一つに事細かな規則を設けていきます。言われなくてもやるべき常識といったものまで文書で定義することで、業務遂行上これを遵守させます。
工場内での派閥にとらわれない価値観の統一は、お互いの業務の遂行時にすれ違いが起きる危険性を防ぎ、仮にすれ違いが発生したとしても第三者による是正が可能となります。

▷ミズカラ株式会社の導入事例

まとめ

人的要素にまつわるムダな部分を省くことにより、個々の作業者が工場本来の純粋な業務に携わることができます。
これにより、工場内で発生している余分な経費が自発的に削減されるでしょう。
一度、工場における人的要素を俯瞰的に見直してみることが大切です。

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