少しでもメンテナンスコストを下げたいニーズは、様々な費用が高騰する経済状況で無理もないことです。
勿論、お金をかけてメンテするからには無駄遣いは禁物ですが、部品交換に当たり非メーカー品を採用するケースがあります。
圧力計など、明らかに汎用品であればわざわざメーカーから取り寄せる必要はないですが、問題はメーカーオリジナルの部品をコピーしたいわゆる「海賊版」と呼ばれる商品です。
物にもよりますが、中にはメーカー価格の半額以下というのをウリにしている所も多く見受けられます。
一例を上げればプレート熱交換器のガスケット。
例えば1枚1万円として、プレート20枚の熱交ならば20万円。それを10万円で海賊版を輸入商社から買ったとします。
この時メリットは10万円のコストダウンです。
しかし、商社には技術者は居ませんから、基本的に品物を届ければ責任が終わります。
購入者としてはガスケットの材質選定や装着方法など、細かい手順を熟知している事が求められ、例えば自分で組み込んで水が漏れても、商社は勿論、多くの場合まともな返事は望めないでしょう。
更に模倣品を使用したことに基づく不具合・損害については電子部品各社は責任は負えません。
▶模倣品託作(電子部品業界からのお願い) -一般社団法人電子情報技術産業協会-
メーカーに頼めば何とか対応してくれる場合もありますが、余程メーカー担当がお人好しでない限り、自社メーカーのガスケットを買って下さい!と言うでしょう。
先に説明した通り商社は責任ありませんから納得のいく対応が望めず、結局メーカーから20万円でガスケットを買い、既に買った10万円は戻ってこないという事態になりかねません。
その場合、出費は30万円で予算は10万円ですから20万円の予算オーバーと購入者の徒労が重なります。
こんなこと上司にどう説明するのでしょうか?
まだ20万円の予算オーバーなら謝れば済むかも知れませんが、これが100枚の熱交でしたらどうしますか?
メリットが大きいと言うことはそれだけ損を被る覚悟も必要だということです。
コストダウンもリスクを伴いますから自己判断は危険!
技術者に相談しながら、正しい判断を致しましょう。