工場におけるユーティリティ部門はライン部門に比べて「縁の下の力持ち」
直接生産に関わる装置が壊れれば製造ができないので判り易いですが、
水処理や冷熱設備はいつ・どこで壊れているのか気づかない場合があるかもしれません。
もしかするとユーティリティ部門の保全担当の方も忘れてしまっている可能性もあります。
しかし、水処理や冷熱設備などが故障してしまって製造などに重大な危険が生じる場合があります。
今回は、ユーティリティ設備の必要性と整備不良による影響をまとめてみました。
1、用水処理(濾過装置)
工業用水や井戸水など、そのままでは使えない水を消毒したり、濾過します。
整備を怠れば、濾過材の砂が固まって濾過性能が落ち(濾過材にヒビが入り)、濁水が工場に入ります。
それが冷却に使われれば、機器の詰まりや悪臭の原因になります。
特に飲用の場合は水道法の水質基準を超え、健康被害が起きる場合も出てきます。
2、冷熱水処理(ボイラ冷却水)
蒸気ボイラに供給する水は、軟水装置の不具合で軟水を給水しないとスケールが付着して効率が落ち、
酷い場合はボイラを破損してしまいます。
冷却水も同様で、適正なブロー管理を行わないと、冷凍機に障害が発生します。
また開放冷却水は、細菌類が繁殖し易く、ドロドロになるばかりか、
レジオネラの様な病原菌が拡散すると、重大な健康被害につながります。
3、排水処理(沈殿処理・生物処理)
目立たない存在ですが、実は一番コンプライアンスが求められる部門。
工場排水は、水質汚濁防止法で常に厳しく監視され、
基準を超えれば企業名公表や改善命令などペナルティが課せられます。
これは、単にコストが無駄なだけの問題では済まず、社会に対しての会社の責任です。
保全担当が優秀であるばかりに「出来て当たり前」と思われやすい排水処理。
しかし、社会への責任の大きさを考えれば、幹部は、取り返しのつかない事になる前に
まずは、メーカーや技術者の提示したメンテ計画を守る予算を準備する事が重要です。
その上で工場ごとの優先順位やコストダウンなど、水処理会社と一緒になって考えてみては如何でしょうか?
お困り事がある際は、是非一度ご相談ください。