近年、食品や原材料、電気料金など、さまざまなものが値上がりしています。
その中で、水道料金についても値上げを実施する自治体が増えており、「今後も上がり続けるのではないか」と不安を感じている企業も多いのではないでしょうか。
原油価格の高騰や円安による資材価格の上昇、人手不足なども水道料金へ影響する要因の一つですが、水道事業は、それ以上に構造的な課題を抱えています。
水を多く使用する工場や事業所にとって、水道料金の上昇は経営コストへ直接影響します。だからこそ、「値上げされてから考える」のではなく、将来を見据えて今から備えておくことが重要です。
本記事では、水道料金が今後も上昇すると考えられる背景と、企業が今から検討しておきたい対策についてご紹介します。
目次
水道料金は今後も上がり続ける可能性がある
日本の水道普及率は98%を超えており、安全な水を安定して供給できることは、日本が世界に誇る社会インフラの一つです。
しかし、その一方で、水道施設の老朽化が大きな課題となっています。
高度経済成長期に整備された水道管や浄水場などは更新時期を迎えており、耐用年数40年を超える水道管も増加しています。
これらの設備を更新しなければ、安全で安定した水道水を供給し続けることはできません。
さらに近年は、地震や豪雨などの自然災害に備えた耐震化も進める必要があり、水道事業者が負担する設備投資は今後さらに増えていくことが予想されます。
(参考)
国土交通省「水道の基本統計」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/stf_seisakunitsuite_bunya_topics_bukyoku_kenkou_suido_database_kihon_index.html
国土交通省「いま知りたい水道」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/stf_seisakunitsuite_bunya_0000087512_00010.html
老朽化に更新が追いついていない現状
老朽化した設備は更新すれば済む話ですが、現実はそう簡単ではありません。
水道施設の更新率は年間約0.6%とされており、このペースでは老朽化の進行に更新が追いついていない状況です。水道施設の更新には多額の費用が必要となりますが、その費用を負担する利用者は人口減少などにより減少しています。
また、節水機器の普及や企業の節水活動も進んでおり、一人当たりの水使用量も減少傾向にあります。
設備更新に必要な費用は増え続ける一方で、水道料金を支える収入は伸びにくいという状況が続いているのです。
このような背景から、水道料金の見直しを行う自治体が増えており、今後も同様の動きは続く可能性があります。
(参考)国土交通省「公営企業としての上下水道事業の現状と課題」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001769400.pdf
水を多く使用する企業ほど影響は大きい
製造業や食品工場、半導体工場、病院、ホテル、商業施設など、水を多く使用する事業では、水道料金の値上げは経営コストへ直接影響します。
例えば、洗浄工程や冷却設備、ボイラー設備、空調設備などでは、毎日大量の水を使用しています。水道料金が数%上昇しただけでも、年間では大きなコスト増になるケースは珍しくありません。
さらに現在は、電気料金や物流費、人件費なども上昇しています。
そのため、水道料金だけを切り離して考えることは難しく、企業全体のコスト削減という視点から、水の使い方を見直すことが重要になっています。
「水道料金が上がってから対策する」のではなく、「今後も上昇することを前提に準備する」という考え方が、これからの企業には求められるでしょう。
「水道」だけに依存しないという考え方
これまで多くの企業では、水道水を前提とした設備計画が一般的でした。
しかし、水道料金の上昇が続く可能性を考えると、水道だけに依存しない体制を検討することも重要です。
例えば、井戸水や工業用水などの別の水源を活用したり、使用した水を再利用したりすることで、水道への依存度を下げられる可能性があります。もちろん、すべての企業で導入できるわけではありません。
しかし、自社でどのような水を、どの程度使用しているのかを把握することで、新たな選択肢が見えてくることもあります。
近年は、水道料金の高騰だけでなく、災害時の事業継続(BCP)の観点からも、水源の多様化に取り組む企業が増えています。
水を「購入するもの」と考えるだけでなく、「重要な経営資源」として見直す時期に来ているのではないでしょうか。
企業が取るべき対策① 水道以外の水源を活用する
水道料金の上昇に備える方法の一つが、水道以外の水源を活用することです。
例えば、次のような水源が考えられます。
- 井戸水
- 工業用水
- 雨水
- 湧水
- リサイクル(排水リサイクル)
これらを用途に応じて活用することで、水道水への依存を減らせる可能性があります。
井戸水は、適切な水処理設備を導入し、水質基準を満たすことで飲料水として利用されている事例があります。また、冷却水やボイラー用水、洗浄水など、用途に応じて活用されているケースも少なくありません。
工業用水についても、供給区域や利用条件はありますが、利用可能な地域では水道水よりもコストを抑えられる場合があります。さらに、用途に応じた水処理を行うことで、食品工場や製造業などで利用されている事例もあります。
雨水についても、散水やトイレ洗浄水など飲料用途以外で利用することで、水道使用量の削減につながります。
ただし、どの水源でも導入前には水量や水質を十分に調査し、用途に適した処理方法を検討することが重要です。
(参考)
国土交通省「貯水槽水道・飲用井戸情報」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/stf_seisakunitsuite_bunya_topics_bukyoku_kenkou_suido_suishitsu_04.html
経済産業省「工業用水の概要」
https://www.meti.go.jp/policy/local_economy/kougyouyousui/kougyouyousui_gaiyou.html
国土交通省「雨水の利用の推進に向けた取組」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk1_000056.html
企業が取るべき対策② 使用した水を再利用する
もう一つの方法が、水の再利用です。
例えば、
- 排水処理水
- 純水設備の洗浄排水
- 冷温水設備の排水
- 蒸気ドレン水
などは、用途によって再利用できる可能性があります。
近年は水処理技術の進歩により、これまで排水として処分していた水を、別の用途で活用する取り組みも広がっています。
例えば、冷却設備の補給水や洗浄工程の前洗い、散水などでは、水質条件を満たすことで再利用できるケースがあります。
もちろん、すべての排水が再利用できるわけではありません。用途ごとに必要な水質は異なるため、水質分析や適切な処理を行った上で利用することが重要です。
水の再利用は、水道使用量だけでなく排水量の削減にもつながるため、環境負荷の低減という観点からもメリットがあります。
過去に見送った設備も、今ならメリットが出るかもしれない
井戸水の利用や排水の再利用、雨水利用などは、以前から検討されてきた取り組みです。しかし、水道料金が比較的安価だった頃は、設備投資に対する費用対効果が見合わず、導入を見送った企業も少なくありませんでした。
ところが、水道料金が上昇している現在では、当時とは状況が変わっています。
以前は採算が合わなかった設備でも、現在の水道料金や将来のコスト上昇を踏まえて試算すると、十分なメリットが得られる可能性があります。
「一度検討したから終わり」ではなく、現在の条件で改めて見直してみることも重要ではないでしょうか。
コスト削減だけでなくBCP対策にもつながる
水源を複数確保することは、水道料金対策だけではありません。
地震や豪雨などによる断水が発生した場合でも、井戸水や再利用設備を活用できれば、事業継続につながる可能性があります。
すべての設備を停止せざるを得ない状況と、一部でも操業を継続できる状況では、企業への影響は大きく異なります。水源を分散しておくことは、コスト削減だけでなく、企業のリスク管理という面でも有効な取り組みといえるでしょう。
(参考)国土交通省「水道施設の耐震化の推進」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/stf_seisakunitsuite_bunya_topics_bukyoku_kenkou_suido_taishin_index.html
将来を見据えた水利用の見直しを
水道料金の上昇そのものを企業が止めることはできません。しかし、水の使い方を見直したり、水源を分散したり、水を再利用したりすることは、企業自身が取り組める対策です。
今後、水道料金がさらに上昇した場合でも、その影響を最小限に抑えるためには、自社の水利用を把握し、早めに選択肢を検討しておくことが重要です。
また、水は企業活動を支える重要な経営資源でもあります。
「水を購入する」という考え方だけでなく、「水を効率よく活用する」という視点を持つことが、これからの企業経営ではますます重要になっていくでしょう。
水道料金対策はミズカラへご相談ください
ミズカラでは、お客様の使用状況や水質、設備環境に応じて、最適な水利用方法をご提案しています。
井戸水や工業用水の活用可能性調査、水質分析、水処理設備の設計・施工、排水の再利用、導入後のメンテナンスまで一貫して対応しております。
また、初期費用を抑えて導入できる従量課金型プランもご用意しております。
「水道料金を少しでも抑えたい」「自社でも井戸水や再利用水を活用できるか知りたい」とお考えでしたら、ぜひお気軽にミズカラへご相談ください。



