前回まで、2回に渡って軟水や軟水装置について記述いたしましたが、今回も引きつづき、軟水装置についてです。
今回は、製造業で使用される様々な軟水装置について記述します。
前回の記事はコチラです。
*”軟水”のこぼれ話から軟水装置のコストダウン方法まで解説!その1
*”軟水”のこぼれ話から軟水装置のコストダウン方法まで解説!その2
アメリカで発展した軟水措置
前回も記述しましたが、軟水装置は製造業に用いられることが多く、
生成された軟水は主に、ボイラ用水や冷却水として使用されていましたね。
その軟水装置とは、一般的にカチオン交換樹脂をFRPのタンク(ボンベ)や管体に入れ、
その上部に自動弁を設置し、再生用の食塩を溶かす再生槽が付属して構成されています。
自動弁が装置の上部についている軟水装置は、トップマウント式と呼ばれています。
コストが最も安価であることでも知られているトップマウント式は、硬度が比較的高いアメリカで発展したため、日本でもアメリカ製が普及しました。
実はアメリカでは工業用としてではなく、家庭用に使用される台数が多く、
ホームセンターでも販売されています。
従来は日本で製作するよりもアメリカ製のものを輸入した方がコストを抑えられるため、
アメリカ製のものが使われることが多かったのですが、最近は日本の水処理メーカーやボイラメーカーが、自社で製造し販売しているものことも多いものです。
アメリカ製の軟水装置の特徴
アメリカでは家庭でも軟水装置が普及していると記述したように、
アメリカ製の軟水装置はどちらかというと家庭向きで造られていることが多いように感じます。
というのは、硬度成分を完全に除去するというより、70~80%程度除去できれば十分と割り切って造られているものが多いためです。
そのため、食塩を使用して再生している最中でも水を絶やすことが無いように、
原水が処理水側に流れる再生中のバイパス機構が付いています。
その間は断水こそしませんが、硬度を除去することなく、そのまま流していることになります。
日本でアメリカ製のものを使う場合には注意が必要
しかし、日本でアメリカ仕様の自動弁を使用する場合は注意が必要です。
主な使用用途である工業用ボイラに、硬度成分が混入してしまうとボイラ内にスケールが発生し、トラブルになってしまうからです。
したがって、このバイパス機構を働かせないようにするため、
再生中は処理水出口に自動弁を設置して、水が流れないようにしてきました。
最近はわざわざ自動弁を設置しなくとも、再生中は原水が流れないような仕組みになっています。
軟水装置も日々、進化していますね。
再生中でも水を絶やさない方法2つ
さて、再生中に軟水が取れないと、水がなくなってしまうので困ってしまいます。
そこで、現場では主に2つの方法で対処しています。
1つ目は、再生時間中に使用する水量を軟水タンクで貯めておき、再生中はこのタンクに貯まった軟水を使用する方法です。再生時間中に送れるよう大きなタンクが必要なので、設置場所の確保が大きなネックです。
もう1つの方法は、軟水装置を2台置き1台が再生している間は、もう1台を動かして水を絶やさないようにするシステムです。
コスト的には、軟水タンクを設置する方が安く済む場合が多いと思います。
こうした自動交互軟水装置もアメリカで進化し、1つのトップマウント用軟水装置自動弁で、2つのボンベの再生ができるシステムが開発されています。
今回はここまで。
次回も軟水装置について、奥深い話をご紹介します。