最近、コンプライアンスや安全管理が重視され、ますます工事書類が増え、チェックも厳しくなってきました。
これはリスクアセスメントを徹底させる上でも必要な事ですし、働き方改革の風潮からも無理をさせず余裕を持った工程と予算を確保すべきとの理解が得られ、とても良いことだと思います。

しかしながら、これは主にゼネコンなどの建設工事に絡む場合であって、メンテナンス工事の世界の現状と言えば、まだまだそこまでではないとうのが本当のところ。

大手工場などでは、書類や安全管理の体制など、リスクアセスメントがしっかりと策定、実施されているところもありますが、建設工事用書類なので少々使いにくく、その結果、判でついたような対応に終始しがちな印象です。

さて、工事現場の安全管理を徹底させるためには、何が大切なのでしょうか?

リスクアセスメントとは?

”リスクアセスメント”をご存知ですか?

アセスメント(assessment)は、「予測する、事前に分析する」などと訳されますね。
リスクアセスメントとは、経済産業省の資料によると

リスクアセスメントは、自社の事業所における事故の発生をもたらす潜在的な危険性(「危険源」)の存在を把握し、 重大事故を防止するための重要な取り組み
引用:リスクアセスメント良好事例集 – 経済産業省

とされています。

建設工事とメンテナンス工事の決定的な違いは?

同じ”工事”でも、その内容によってリスクアセスメントはもちろん変わってきます。
建設工事とメンテナンス工事の決定的な違いは、主に既存物があること工事の内容がばらすまで判らないことの2点にあります。

建設工事はもともと何もない場所に設備を組んでいくので、計画的に段取りすることができます。もちろん、作業を進めるうちにイレギュラーが発生することもあるので、そういった点には慎重になる必要がありますが、ある程度見通しが立てやすいため、リスクアセスメントも実施しやすいでしょう。

一方で、メンテナンス工事は、まず対象が何処なのかから判明していないことが多く、さらに、手を入れることはできるのか?足場はあるのか?変な線や脆い部品が通ってないか?
などなど、建設工事現場では起こらないようなイレギュラー要素が満載です。当然、予期せぬ危険も多くなります。

例えば、足場をかけられるとは限らないし、場合によってはすぐ後ろでラインが動いていることすらある。水が吹いて稼働中の制御盤にかかれば大事です。「事前に」予測したり潜在的な危険性を把握したりすることが、ちょっと難しいのが現実です。

そのため、百戦錬磨の技術者が何となく現場を見て作業のイメージを膨らませて営業が見積もりを書き、実際に色々なトラブルが起きても現場で何とかする。お客さんも頑張って汗をかき協力する、みたいな感じになります。

酷いときは、とにかく現場に行ってから考えるなんてこともあります。なので、メンテナンスの作業員のハイエースには、いつでも道具が満載。「あの人を呼べば治る」みたいな、実は少々キツくて辛い信用を背負っていることもあるからです。

ただ、本来それで良いわけもなく、建設工事と同じく計画的に、安全に、そしてスマートにメンテンナス工事を遂行する必要があります。
メンテナンス工事は事の性質上、現実にはなかなか難しいというのがが現場の声ですが、建設工事の安全管理やリスクアセスメントに、近付ける事はできるでしょう。

水を中心としたコストダウンと省力化と防災対策

効果的なリスクアセスメントを徹底させるには

どうのような作業にどうのようなケースの事故原因が潜んでいるのか、事前に適切な対策を練ることは基本です。
しかし基本的な対策不足、事前の認識不足が原因となる事故が、実は多いのです。

足場、導線、電源、水道、障害物、可動物、危険物、開口部の有無などからリスクアセスメントを徹底させる。作業員の安全もそうですが、周辺の器物についてもよくよく考え、不明なものはお客様に尋ねる。そして危険であると判断すれば、作業前に交渉してラインを停めてもらうことも必要です。メンテナンスの作業員だけでなく、お客様にもリスクアセスメントのことを知っていてもらうことは、重要ですね。

先述しましたが、建設工事と比べメンテナンス工事や修理はイレギュラーが多いものです。
事前予測が難しい分、刻々と変わる状況を見逃さず建設工事以上に、工事中でも何回もリスクアセスメントを徹底させるべきです。

見積もり前に想定していないことは、お客様に伝えにくいかも知れませんが、そもそもメンテナンスとはそういうものなのです。遠慮なく発言し、なんならお金の話もその場でつけてしまえば、作業員も安心して作業できるでしょう。

発注者も汗をかく協力じゃなくてメンテナンス業者がそういう持ちかけをしてきたら、安全確保やリスクアセスメントのために必要な措置と言うことで是非理解を示して協力して頂きたいものです。

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