現場に慣れると、本来危険なものも、意識が行き届かなくなるものです。
今回は、水処理の現場に潜むありがちな危険のお話です。
まず、必ず見かけるポンプやブロワー、冷却塔ファンなどの「回転機器」には運転中に近づいてはなりません。
よく、点検や採水などで、ポンプの上に乗って移動したり、モノを載せたりしているのを見ますが、1分間に3,600回転もするモーターに、ネクタイや袖が巻き込まれたらどうなるでしょう?
次に、油断しがちな「制御盤」
中をばらすことは余りないと思いますが、例えば、冷却塔を止めたと思って、清掃に入ったら、実はファンが別回路で、温度制御で突然動き出すことがあります。
冷却塔の制御は、制御盤の範疇。
冷却塔自体には安全装置はありません。
知識のない電気業者が設計すると、とんでもない動きをする事があります。必ず人をつけて作業しましょう。
最後に「化学反応」の恐ろしさ。
現場には、機械や電気の専門家は多いですが、化学の専門家は少ないです。
実は水処理は、当たり前に見えて、意外と複雑な化学反応を扱っています。
水処理で最もポピュラーな「塩素」は、次亜塩素酸ナトリウムという強力な酸化剤で、布などにつけば火災の危険があります。
また、一緒に使われるPAC(ポリ塩化アルミニウム)や、塩酸等の酸と混ざると、猛毒の塩素ガスを発生し、命に関わる事故や異臭騒ぎを起こします。
厚生労働省からも安全データシートが公開されています。
▷安全データシート「塩素」-厚生労働省-
薬品の取扱はマニュアルを順守するだけでなく、現場状況の変化がないか、定期的に見直す事が必要です。
メーカーのマニュアルには、禁止事項は書いてありますが、万一そうなった場合の対応策は、現場状況によって変わる為、一概に言えず、余り詳しく書いてありません。
ですので、現場ごとに、やるべき行動や準備をしておくことが必要です。
うちの施設では何をすべきか?
万一の時はどうするのが一番よいのか、水処理会社と一緒に考えていきましょう。