ひと夏を乗り越えてほっと一息ですね。
ほっと一息なのは人だけでなくて機械もそう。
機械の過熱を防ぐ冷却水や、所定の温度にコントロールする熱交換器などには、水に由来した汚れが少しずつ溜まってきます。
スケールの付着などが代表的ですね。汚れの蓄積は熱伝達の障害など機器のパフォーマンスの低下に影響するだけでなく、機器の故障や事故の原因にもなります。
今回は、蓄積した汚れを除去するための方法についてお話しします。
様々な洗浄方法
1.高圧水洗浄
ジェット洗浄機を使って、高圧水を吹き掛けて汚れを落とします。
配管の場合は、チューブの先端に逆噴射するノズルを着けて奥から汚れを手前に掻き出すこともできます。
配管が太くて曲がりがなく単純なケースや汚れが柔らかい場合に有効です。排水管や水槽などの洗浄に用いられることが多いですね。
2.過酸化水素洗浄
”過酸化水素”とは、身近なもので言うとオキシドールのことです。
学校でケガをした時に保健室で塗ってもらうオキシドールは、傷口を消毒する際発泡しますが、それは血液とオキシドールが反応して酸素が出るからです。
これを何十キロと工業的に取り寄せて水に入れ、酸素の泡と殺菌力で洗浄する方法が、過酸化水素洗浄です。
泡が出るには汚れが生物(人体成分・汚れなどを栄養源として繁殖した細菌・微生物)である必要があります。浴槽や風呂配管のヌメリや冷却水のスライム除去に使われます。
3.酸洗浄
カルシウムや鉄さびなどの硬質スケールを酸で溶かして除去します。
酸と一口に言っても塩酸や硫酸、硝酸などの無機酸の他、クエン酸やグリコール酸などの有機酸と種類が豊富なのでスケールの性質と機器の材質によって酸の種類を選びます。中には人体や環境への影響が大きいものもあるので、選定には注意が必要です。
洗浄液はそのままでは捨てられないので、アルカリで中和してから産業廃棄物として処理します。排水処理を怠ることのないように気を付けましょう。
その際、洗浄中は酸に溶けて透明だったスケールが中和の際に沈殿しますから、中に残らないよう、洗浄後の水洗が重要です。
独断で選定する洗浄方法は実は危険
いずれのケースも洗浄剤の選定を間違うと、機械を溶かしてしまったり、細い枝管やチューブを見落とすと、薬剤が残留してこれまた機械を壊したりますので注意が必要です。
それゆえ、洗浄範囲は性能を維持するための最低限にすべきで、機器の仕組みをよく理解した上で実施する必要があります。
例えば、冷却能力低下の場合は、熱交換器や機器の内部を洗浄すべきで、熱交換に関係ない往復配管の洗浄は、実はあまり意味がありません。
薬品だけ買って自営で行うのは危険です。特に酸洗浄は、事故防止のための安全対策や適切な排水処理に努めなくてはなりません。
機械メーカーや水処理会社によく相談の上、計画的な化学洗浄を進めましょう。