人のやることには必ず抜けがあります。
でも、航空機や鉄道、病院など、抜けがあるでは済まされない仕事もたくさんあります。
その様な仕事を進めるには一人では無理で沢山の人が関わって事故が防ぎます。
これを、安全管理の考え方では、「スイスチーズモデル」というもので説明します。
ヒトのミスや抜けをスイスチーズの穴に例え、チーズ(ヒト)それぞれには穴が空いていても、
沢山のヒトが関わって、補うがごとく並べることで、事故を防ぐというものです。
※スイスチーズモデル(Swiss Cheese Model)とは、重大な事故や失敗が発生するメカニズムを説明するためのリスク管理理論です。英国の心理学者ジェームズ・リーズン(James Reason)によって提唱されました。
■ 基本概念
組織やシステムには、事故を防ぐための「複数の防御層(バリア)」が存在している。
それぞれの防御層は一見しっかりしているようでも、「穴」(=欠陥や不備、ヒューマンエラー)が空いている。
普段はそれぞれの層で問題が食い止められるが、偶然にも穴が一直線に並んだとき、事故が発生。
■ イメージ
防御層をスライスされたスイスチーズに見立て、そこに空いた「穴」がリスクや欠陥を表します。
赤い矢印(ハザード)が複数のチーズの穴を貫通すると、「インシデント(事故)」が起こる、わかりやすい構図です。
■ 活用例
医療現場(医療ミス防止)
航空・鉄道などの安全管理
製造業の品質・安全対策
原子力や水処理プラントなどの重大事故対策
しかし、これで長い間事故が起きないでいると、人は慢心して「私一人くらいなら大丈夫」と思うようになります。
すると、ヒトのミスや抜けは次第に増え、スイスチーズの穴が大きくなります。
そして、これがいつか貫通すると、大事故につながる、という訳です。
これはヒトの常でもあり、心がけだけでは解決できるものではありません。
そこで、大事故につながる前の段階で緩みを見つけ、全体の引き締めを図るのが「ヒヤリハット運動」や「KY(危険予知)活動」です。
水処理の世界でも、バルブの開閉や薬品の取り扱い、高所作業、重量物など危険の種は沢山あります。
安全は、できるだけ多くの人が参加して皆で協力して作っていく事が重要です。
上から言われなければ関係ないと思わず、自分たちの為に支え合って、安全を確保して行きましょう!