生きることは”リスク”と戦うこと

物事を行うときは必ずと言っていいほど危険(リスク)が伴います。

車を運転すれば事故に遭うかも知れないし、ビルを建てれば転落するかも知れない。
温泉に入ればレジオネラ肺炎になるかもしれないし、ゴハンを食べればガンなるかもしれない。

しかし、だからと言ってどれも生きていくためには必要なことなので、全てを排除する訳にはいきません。
リスクとは、そのような損害を完璧に抑えることではなく、起こりえる損害を可能な限り抑える(損害を最小化する)ことです。
つまり、人は知らず知らずのうちにリスクと戦って生きているのです。

本質安全と機能安全とは

ところで、安全管理の考え方に「本質安全」「機能安全」という言葉があることはご存知でしょうか?

本質安全とは、例えば車が危険なら、車以外の方法を考えて移動しリスクを減らすということ。
リスク要因そのものを排除する、という考え方ですね。

しかし、この本質安全の考え方だけを突き詰めてしまうと、

「車は危ない」

「車を無くそう!」

「ビルから転落したら危険だ」

「ビルの建設も辞めよう」

「温泉に入るとレジオネラ肺炎にかかるかもしれない」

「温泉を無くそう」

「ご飯を食べるとガンになるリスクがある」

「ご飯を食べるのを止めよう」

「飛行機は落ちる可能性がある」

「飛行機に乗るのは止めよう」

極論、このような世の中になってしまいます。
例えなのでちょっと大袈裟ですけどね。

しかし、実際にはそれでもリスクはゼロになる訳ではないことは、皆さんお分かりだと思います。

そこで、機能安全という考え方が出てきますが、機能安全という言葉、聞いたことありますか?

機能安全という考え方

機能安全とは、日本規格協会では

「安全のために、主として付加的に導入された、コンピュータ等の電子機器を含んだ装置が、正しく働くことによって実現される安全」

と定められていますが、
例えば、車が危険であるならば信号を作り、さらに交通ルールやそのルールを守る仕組みを作り、
また、車に安全装置をつけて衝突しないようにするなどの工夫のことを、機能安全と言います。

ドラム式洗濯乾燥機などに付いている”チャイルドロック”も、機能安全の1つですね。

機能安全の考え方を現場にも

メンテナンスの現場では、実はこの”機能安全”の考え方を良く使います。

危険だからといってお客様の装置を「撤去しましょう」とは言えませんから、
できるだけ”危険のタネ”を見つけて、メンテナンス以後、お客様が装置を安全に運転できるような提案をします。

具体的には、例えば薬品などの消耗品の補充通路の確保や表示(注意喚起)の設置、
壊れやすい部品に対してはカバー(防護装置)の取り付け、
動きにくい場所の足場確保、手摺などの転落防止、薬品漏れに備えて防液堤の設置などなど。

このような対策は、正に機能安全の考え方と言えますね。

ちなみに、リスク低減には3つのステップがあると言われています。

  1. 安全設計によるリスク低減(本質安全)
  2. 付加機能によるリスク低減(機能安全)
  3. 注意喚起や情報の更新によるリスク低減

中でも機能安全に関する点は、実は普段の仕事で慣れたオペレーターに限って気付き辛いのが現状です。
使い慣れていると、危険であることを認識しなくなってしまうんですね。
また、忙しい日常でつい自己流でうまく行ってしまうことも多々あるのが、工場設備というモノです。

メンテナンス会社は、一歩引いた目でお客様の危険を見抜き、お役に立てることが多いのです。

設備のメンテナンスは、工場停止の休日に行われる事が多いですが、
是非ともオペレーターの方にも立ち会っていただき、普段の困りごともご相談頂けるとありがたいです。

お困りごと、お悩みごと、お気軽にご相談ください。

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