めっきり寒くなりましたね。

昔はストーブの上にヤカンを置いて沸かしていたお湯も、今はスイッチひとつで沸く電気ケトルや蛇口をひねるだけでお湯が出る時代。

便利になりましたね。

ボイラーとは

設備の世界では、お湯や蒸気を沸かす機械の事を“ボイラー”といい、ヤカンと同じく大きな鉄の釜に水を入れ、バーナーで温めてお湯を沸かしたり蒸気を発生させたりします。

製造工場などで使用することが多いイメージかもしれませんが、病院やビル、デパート、ホテルなど、大型施設の熱源はボイラーを使用していることがほとんどです。
なかなか実物を目にする機会はないかと思いますが、私たちの身近なところで利用されています。

昔のボイラーといえば、ただ単に水を入れて沸かすだけの機能しかありませんでした。
そのため、水中のカルシウムが結晶化して真っ白になり(スケールと言います)、それを毎回剥がすのもボイラーマン(ボイラー技士)の日課でした。

しかし、ボイラーが大型化すると、その作業はかなりの手間になります。スケールは固いですし、それを人の手で延々と剥がす作業は重労働です。そんな中、水中のカルシウムをイオン交換で取り除く軟水器が登場し、瞬く間に普及しました。

しかし、ここで新たな問題が!

スケールが付着するうちは鉄の釜は錆びなかったのですが、軟水化することで今度は釜が錆びて穴があいてしまうのです。

そこで釜の水のphを調整し、脱酸素する事で腐食を防ぐボイラー薬品が登場しました。
先の軟水器とともにボイラー水処理が確立され、ボイラーの寿命は飛躍的に延び、能力も向上しました。

水を中心としたコストダウンと省力化と防災対策

国家資格であるボイラー技士

長寿命化、能力向上に伴い、ボイラーはますます大型化しました。高圧高温の蒸気を大量に扱う事は、火傷や噴出による損傷から水蒸気爆発など、相当な危険と隣り合わせなのです。そのため、危険な作業を担うボイラーマンは、専門の資格を持って安全を管理する仕事となりました。

“ボイラー技士”という国家資格ですね。

ボイラー技士の免許を所持している人は、ボイラーの点検、安全管理、メンテナンスや危険性について、熟知しています。もちろん水処理会社の責任も重大でした。

参照:二級ボイラー技士とは

ボイラーの小型化によるボイラー技士の減少

しかし、ここ10~20年でボイラー技士は激減します。
というのも、ボイラー技士の資格が必要ない小型貫流ボイラーが出現したからです。

大型のボイラーは、圧力容器といって決められた以上の圧力と容積を持つ容器の扱いには、ボイラー技士の資格が必要になるのですが、小型貫流ボイラーは圧力は高いけれども容積が少ないため、その縛りから外れます。つまり、ボイラー技士の資格がなくても取り扱うことができるのです。

小型貫流ボイラーで大型ボイラーの能力を得る必要がある場合には、10台でも20台でも並べれば良いという意味の、多缶設置という言葉も生まれました。

何だかビールか発泡酒かみたいな話ですが、この話は実話なのです。
そのために、多くのボイラー技士が失職するか、もしくは周辺の管理業務に従事するようになりました。

技術的には何台ものボイラーをコントロールするための制御技術や、細々と発生する修理(何と言っても台数が桁違いですから)への対応としての保守契約や、異常察知のための遠隔監視システムなどが最近のトレンドです。

そういう事で、ひと頃に比べればボイラー技士や水処理会社の位置付けも、随分と軽く(?)見られるようになりました。

しかし、高圧高温の蒸気を扱うことに変わりはありませんよ。
昔は技術者や有資格者が必須だった世界。
とても危ないモノを扱っていることは、ご理解いただけると幸いです。

保守契約で安心も良いですが、ボイラーの歴史を紐解くことで、安全意識を向上して頂けますと嬉しいです。

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