※2018年6月28日の記事をリライトしています。元記事:https://atss.co.jp/media/environment/
水質問題で最近話題になったことと言えば、東京都築地の地下水の件が、よくニュースでも取り上げられていましたね。
企業が工業用水として利用したあとの水は、地下水の水質にどのように影響するのでしょうか。なぜ、地下水の水質汚染が起こるのでしょうか。
皆さん、知っているようで意外と具体的に知らない方が多いと感じます。
環境への配慮を求められている今の時代に、地下水に影響が出ないような取り組みが必要です。
今回は、地下水の水質に影響を及ぼさないよう環境に配慮した企業づくりを考えていこうと思います。

目次
地下水とは
「地下水」と聞くと、多くの人が井戸水を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、水道水と地下水にはどのような違いがあるのでしょうか? まずは、それぞれの特徴について見ていきましょう。
地下水とは?
地下水は、雨や雪などが地面に染み込み、長い年月をかけて地中で自然にろ過されることでできた水です。砂や土、岩などによる自然のフィルターを通るため、比較的きれいな状態で地下に蓄えられます。
そのため、地下水を利用する際には、必ずしも強い消毒が必要というわけではありません。もちろん、安全のために一定の処理は行われますが、水道水ほどの消毒処理は通常必要とされません。
また、地下水は地域ごとの地質によって成分が異なります。たとえば、ある地域では鉄分が多く含まれていたり、別の地域ではカルシウムやマグネシウムが豊富で硬水になることもあります。これは、市販のミネラルウォーターに「軟水」や「硬水」といった違いがある理由とも共通しています。
水道水とは?
一方で、水道水は、川や湖、地下水などを水源とし、浄水場でろ過や消毒処理を施したうえで、各家庭や施設に供給されている水です。
例えば、関西地域では琵琶湖の水を主な水源として水道水が供給されていることが広く知られています。浄水場では、飲料水としての安全性を確保するために、高濃度の塩素を用いて水を消毒しています。
なお、浄水の工程は地域や時期によって若干異なりますが、通常は5〜6時間ほどの処理時間を経て、安全で衛生的な水が私たちのもとに届けられています。
地下水も水道水も、それぞれに特徴と利点があります。私たちの生活に欠かせない「水」について、理解を深めることで、より賢く、そして環境にも配慮した水の使い方を考えるきっかけになるかもしれません。
地下水の特徴
地下水は、水温・水質がほぼ一定です。
地下水の温度は、ほぼ一定です。地域にもよりますが、水温は16℃~18℃で、年間の温度差は1℃以内であることが一般的です。
地下水の水質は通常一定ですが、場所によって変化しやすいため、注意が必要です。土壌汚染から流れ込む物質の影響を受けやすいので、場所によっては飲み水として利用できない場合もあります。
地下水は多くの場所でくみ上げることができます。昔から工業用水や生活用水に関しては、地下水の依存度が高い地域もありました。
しかし、場所によっては水量が少ない場合もあり、継続供給が可能かどうかは、あらかじめ検討する必要があります。
工業用水は年間どのくらい使われているのか
実は、国土交通省の2020年のデータでは、取水量ベースで全国の使用水量を見ると、生活用水として約135億㎥、工業用水として約130億㎥が利用されています。農業用水は約532億㎥の利用量で、すべて足すと琵琶湖の約3倍分の水量にあたります。なお、工業用水とは、ボイラー用水、原材料用水、製品処理用水、洗浄用水、冷却用水、温調用水などに使用されている水を指します。こう考えると、企業は水に対してかなりのコストを支払っていると感じます。
参考:国土交通省「水資源の利用状況」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/content/001856493.pdfhttp://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk2_000014.html
地下水の水質調査をするにはどうしたらいいか
水道水以外の水を飲料水として使用する場合、すなわち地下水を飲料水として使用する場合は、水質検査を行う義務は、実は定められていません。
ただ、土壌が汚染していることを知らずに家の井戸水を飲んで体を壊したという話もあるため、保健所などに相談され、水質検査をすることをオススメします。
参考:交易社団法人 日本地下水学会
地下水の水質調査の項目とは
飲料水としての水質基準は、水質基準項目(51項目)と基準値が詳細に決められています。特に重要な項目といわれているのが、①大腸菌 ②一般細菌 ③塩化物イオン ④有機物 ⑤硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 ⑥pH ⑦色度 ⑧濁度 ⑨味 ⑩臭いの10項目です。
また、鉄やマンガンは、健康に直接関係する項目ではありませんが、地下水の色や着色、濁りなどに影響する場合があるため、念のため検査項目に入れておくことをオススメします。
例えば、クリーニングに使うために地下水を活用しようと考えた場合に、着色が付くと問題です。

参考:水道水質基準について 環境省 (令和6年4月1日より、国土交通省及び環境省へ移管されました)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/index.html
引用:環境省 https://www.env.go.jp/water/water_supply/kijun/index.html
地下水の水質調査の費用とは
簡易な方法としては、水質調査用のキットがあります。
しかしながら、井戸水のように最初から掘られているならまだしも、地下水に到達するまで地面を深く掘って調査するのは至難の業です。
日本地下水学会によれば、細菌検査のみであれば、1件数千円程度ですが、水質基準に対応する水質検査の費用は1件当たり、10万円を超えるといいます。
地下水の水質汚染とはどのようなものか

現在の地下水の水質汚染は、高度経済成長期の土壌汚染が背景にあります。
かつて工業用水の排水処理がうまくいかなかったため、土壌が汚染されてしまい地下水の水質汚染につながりました。
例えば、有機塩素系溶剤や石油物質による汚染や、クリーニング工場などの排水による汚染などがあげられます。
その他にも、工場などで出た廃棄物を土地で放置し、雨ざらしになって汚染水が土壌に染み出てしまうといった例もあります。
土壌汚染による水質汚染の中でも、硝酸性窒素による汚染は特に厄介です。
というのも、硝酸性窒素は無味・無臭・無色透明であり、さらに水溶性のため、土壌にたまることなく地下水や河川水に溶け出してしまう性質があるためです。
この主な原因は家庭用排水や家畜排泄、農地で用いられる肥料などがあげられます。
この手のものは、一度汚染されると自然では改善されにくいため注意が必要です。
このように、昔はここの井戸水は綺麗だったから使えるだろうと思っていても、時を経て、様々な原因により、地下水が汚染されてしまっている場合もあるのです。
なお、飲料水以外においても、地下水を利用する際には、専門機関を経て確認されることをオススメします。
もし地下水の水質汚染が疑われた場合は、地下水の利用をせずとも、汚染の原因は知っておくとよいでしょう。
まとめ
地下水は、日本では昔から工業用水や生活用水として活用されてきた資源です。
今日では、利用用途によっては、水質調査に基準が設けられています。
また、企業として、地下水の水質汚染など環境に配慮することは、社会から求められている責任です。
今の排水処理など工場機器に少しでも不安がある場合は、ぜひご相談ください。
最後に
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